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2007年7月19日 (木)

オカマ猫

夏目漱石の 「我輩は猫である」 を読んでいてふと思ったことがある。
この作品が書かれたのは明治時代であるから、当時の猫界ではまだ避妊手術なんてほとんどされてなかったであろうと思われる。
わたしの子供のころも、猫というのは勝手にそのへんをうろついていているもので、飼い猫といえどもサカリがつけば、おたがいを追っかけまわして盛大にわめきあっていたものだ。

昨今ではそういう風潮がすたれて、たいていの猫は避妊手術をされるのが大流行である。
動物が好きなのか嫌いなのかわからないけど、飼い主の多くが不自然な生きものを量産して恥じることがない。
去勢されたために世をはかなんで自殺した猫の話もあまり聞かないから、まあ、猫のほうもそうとうに楽天家であるようだけど。

わたしの知り合いに猫を3匹も飼っているおばさんがいる。
もらってきたかひろってきたか知らないけど、いわゆる血統書つきの猫さまではなく、そのへんのノラちゃんと同類の猫ばかりである。
おばさんの家にやってきたばかりのころはちゃんとした猫でも、そのうち避妊ずみになってしまう。

近所のメス猫が、おや、今度あのうちに美男子の猫がやってきたな、仲良くなりたいわーと思ったとする。
それでせっせとおしゃれをして、遊びに行ってみたら、いつのまにか当のオス猫がオカマ猫になっていたということである。
「我輩は猫である」 の中には、人間の横暴について猫族の窮状をうったえる箇所があるくらいだから、夏目漱石が生きていたら、きっとこのへんの事情も書き加えたにちがいない。

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