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2007年8月10日 (金)

空蝉

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ブログのネタ探しにいく。
うちの近所には崖線という特殊な地形がある。
それとはっきりわかる地面の段差が、となりの街からわたしの街を通って、反対側のとなり街までえんえんと続いているのである。
最初はこれを断層かと思い、こんなものがあるようじゃ地震のときブッソウだなと考えたが、じつは多摩川の河岸段丘のひとつで、危険なものではないそうだ。
崖線の上に遊歩道があって、木がたくさん茂っているから、散歩するには涼しくていい。

ここでセミの抜け殻を見つけた。
今年はセミの当たり年という新聞記事を読んだおぼえがあるけど、いまのところセミがとくべつ多いような雰囲気はない。
セミの抜け殻は、古風でおくゆかしい言い方をすると 「空蝉 (うつせみ)」 ということになる。
ブログのネタに困っていたわたしは、この言葉からたちまちネタをでっちあげてしまう。

「源氏物語」 という平安時代のオンナの人が書いた古典小説があって、これは54のパートに分かれており、それぞれにタイトルがつけられている。
タイトルを最初から列挙すると以下のとおり。
桐壷 (きりつぼ)、帚木 (ははきぎ)、空蝉 (うつせみ)、夕顔、若紫 (わかむらさき)、末摘花 (すえつむはな)、紅葉賀 (もみじのが)、花宴 (はなのえん)、葵、賢木 (さかき)、花散里 (はなちるさと)、須磨、明石、澪標 (みおつくし)、蓬生 (よもぎう)、関屋、絵合 (えあわせ)、松風、薄雲、朝顔、小女 (おとめ)、玉鬘 (たまかづら)、初音 (はつね)、胡蝶、蛍、常夏 (とこなつ)、篝火、野分、行幸 (みゆき)、藤袴、真木柱 (まきばしら)、梅枝 (うめがえ)、藤裏葉 (ふじのうらば)、若菜・上、若菜・下、柏木 (かしわぎ)、横笛、鈴虫、夕霧、御法 (みのり)、幻 (まぼろし)、雲隠 (くもがくれ)、匂宮 (におうみや)、紅梅、竹河、橋姫 (はしひめ)、椎本 (しいがもと)、総角 (あげまき)、早蕨 (さわらび)、宿木 、東屋 (あずまや)、浮舟 (うきふね)、蜻蛉 (かげろう)、手習 、夢浮橋 (ゆめのうきはし)

わたしは源氏物語を全巻通して読んだことはないけど、このタイトルを最初から順番に口ずさんでみるのが好きである。
これはタイトルだけで詩になっている。
ひとつひとつが日本の伝統美の象徴のようでもあり、とくに 「夢浮橋」 で終わるところがなんともいえずいい。
なんでえ、吉原の遊女の名札かと思ったよ、なんて人もいるかもしらんけど。

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