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2007年9月14日 (金)

肥後もっこす

熊本で田舎暮らしをしているKさんが、方言のむずかしさについてぼやいている。
たしかに方言の辞書ってのはあまり聞いたことがないけど、ネット上にはいくつかそういうものも見つかるので、Kさんにも機会をみつけて少しづつボキャブラリーを増やしてもらいたいものだ。

司馬遼太郎の 「街道をゆく」 には、熊本 (肥後) の県民気質というものが描写された箇所があるので、ちょっと紹介してしまう。
肥後人は元来がモッコスで、一人一党で、統治者からみればじつに治めがたい集団であったらしい。
たとえば戦国期に諸国で統一の英雄というものが多く出た。関東の北条早雲、甲斐の武田信玄、尾張美濃の織田信長・・・・・・(中略)・・・・・・などがそうだが、肥後は武の国で英雄的資質をもった人物を多く輩出しながら、そういう統一者を自国人が推薦し、その人物を大きくさせることをせず、たがいに勇を競い、我を重んじているうちに戦国時代がすぎ、いつのまにか中央で豊臣政権ができてしまった

そういうところが肥後人のおもしろさだと、この作家はいう。

また、江戸中期に細川重賢という名君が出て、肥後藩に藩校を興したとき、教授の藪孤山という人が、当時流行していた朱子学ではなく、古学を学問の柱にしましょうと献言したそうである。
朱子学と古学の違いはさておいて、その理由が
ただでさえ肥後人は理屈っぽうございますのに、これに朱子学を与えれば火に油をそそぐようなものでございましょう』 ということだったそうである。

田舎暮らしでいちばんむずかしいのは、土地の人と親密な関係をむすぶことだと思うので、Kさんにはこうしたことを参考にしてがんばってもらいたいものである。

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