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2007年9月28日 (金)

日本山名辞典の2

「日本山名辞典」 をながめているうち、発見した新知識をいくつか。
奥多摩にある鷹巣山 (たかのすやま) を、わたしは鷹巣山と書いたり鷹ノ巣山と書いたりしてきたが、辞典でははっきり 〔鷹巣山〕 に分類されている。
鷹ノ巣山という見出しもちゃんと別にあるので、これは根拠のあるものらしい。
同時に鷹巣山という山は、鷹ノ巣山も含めると、日本国内に15もあるということがわかった。

深田久弥は 「日本百名山」 の中で駒ケ岳という山名の多さにふれているので、ついでにそれも調べてみた。
むろん駒ケ岳の場合はなになに駒ケ岳と地名を冠したものがほとんどだが、それは全部で (こまがだけという読みのものまで含めると)18ある。
なるほど、かなり多い。
しかし駒ケ岳が1位というわけではない。
わたしが何度か登ったことのある八ヶ岳・天狗岳の項を読んでいたら、天狗岳も負けず劣らず日本国内に18あることがわかった。
こちらは読みの違うものの応援など求めていないのである。

このあたりからだんだんむきになってきて、さらに数の多い山名を探してみた。
どんな名前が多いだろうと考えて、まず思い浮かぶのは、赤岳、黒岳、丸山など、色や形を簡潔にして直接的に表現した名前である。
山の名前というものは本来、地元の人たちによって自然発生的に名づけられたものがほとんどだろう。
だとすれば見たままの色や形で呼ばれたものがほとんどではないか。

結果は赤岳が4つ、黒岳が11 (ただし “くろたけ” と読むもの、“玄岳” と書くものがひとつづつあり、語源はいっしょだだろうからこれも含めた)。
丸山にいたってはなんと81もあって (“円山” も語源は同じだろうから、これを含めるとさらにプラス10) これが日本の最多山名だろう。

さてひまつぶしに丸山 (円山も) を駒ケ岳と比較してみるが、悲しいことに丸山は小兵ばかりで、千メートルにみたないものが81中68もある。
最高は赤石山脈にある丸山で2373メートル。
最低は石川県にある丸山で、たった63メートルしかない (こんな山まで見つけてきた辞典の緻密さには恐れ入る)。
緻密といえば、この辞典の丸山は北海道だけで45を数え、そのうちにはロシア領とされるエトロフ、クナシリ島の丸山まで記載されている。

駒ケ岳のほうのいちばん高いのは3760メートルで、これは北岳よりも高い。
北岳より高いというと、山に詳しい人はあれっと思うだろうが、この駒ケ岳は富士山の一峰の名前である。
純粋の駒ケ岳としては甲斐駒の2966メートルが高いが、辞典の記述・解説量では2956メートルの木曽駒が圧倒的に長い (行数にして前者は17行、後者は64行)。
81の丸山の標高を合計してみると67946メートルであるが、いっぽう18の駒ケ岳の合計は31057メートル。
平均すると丸山は839メートルにしかならないが、駒ケ岳は1725メートルになる。
この両者に勝敗をつけるとしたら、さあ、どうする?

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