女学生
世間には宮沢賢治のファンが多い。
わたしもいちおう彼のファンで、はじめて彼の童話を読んだのは小学生のころだから、年期はそうとう入っている。
それで宮沢賢治は童話作家だと、ずっと・・・・・ 青年期の終わりまで思っていた。
ところがある日、旅先で週刊誌を買ったら、それに 「噴火湾」 という彼の詩が載っていた。
遺憾ながら、わたしが宮沢賢治を詩人として意識したのはそのときが初めてだった。
それから彼の詩を読み始めたのだが、その作品の異様さにすぐ気がついた。
SF青年でもあったわたしがいちばん興味を持ったのは、多用される科学や博物学用語だったけど、それ以外にもこんな変わった詩があるだろうかってなもん。
ま、そのへんの理屈は専門書にお願いしてしまう。
なんとなれば、わたしは一介の詩の愛好家であって、評論家でも作家でもないからである。
彼の詩の中に 「青森挽歌」 という忘れられない名品があって、そこに 「女学生」 というワルツの曲名が出てくる。
賢治のというより、これはどっちかというと妹のトシ子さんの愛聴曲だったようだけど、攻撃的ファンというものは、こういう些細なところに関心を持ってしまうのだ。
わたしはさっそくレコード屋でこの曲の入ったレコードを買ってきた。
べつにそれほど素晴らしい曲とも思わなかったけど、賢治の時代には入手できる洋楽レコードはいまほど多くなかっただろうから、彼が手にいれたレコードをむさぼるように聴いただろうということは容易に想像できる。
これがあの宮沢賢治も聴いた曲かと、「女学生」 はしばらくわたしに一種の共感をもたらして、その後は押入れの奥にしまわれっぱなしになった。
どんな曲か聴いてみたい人は以下のホームページで聴けます。
http://homepage3.nifty.com/TAD/m_box.htm
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