« 日本山名辞典の2 | トップページ | 集団自決 »

2007年9月28日 (金)

ミャンマー

かってビルマという国があった。
わたしが子供のころ読んだ航空戦記漫画 (わちさんぺいの作品だったかな) に、密林の上を飛ぶ戦闘機群の絵があって、そこに 「日本軍は破竹の勢いでラングーンの空にせまった」 という説明がついていた。
まだ戦争をカッコいいものと信じていたわたしは、胸をときめかせてページを追いかけていたものである。

その後、ビルマはミャンマーという国になり、いま世間を騒がせていることはご存知のとおり。
ミャンマーは仏教国であり、もしも民主的な国家の建設に成功していれば、タイのように、おだやかな人心と美しい風景で外国人を魅了する、東南アジア屈指の観光立国になっていたと思われる。
旅行好きなわたしとしては、軍政のおろかしさを残念に思わないわけにはいかない。

この国でデモ取材中の日本人カメラマンが射殺された。
その映像がテレビで流されたというので、見逃したわたしはただちにユーチューヴ (YouTube) を当たってみた。このさい著作権うんぬんなんか言っちゃいられないのである。

ショットの瞬間はちょっと微妙だが、たしかに銃を持った兵士のすぐわきで倒れるカメラマンが映っていた (ユーチューヴさまさまだな)。
故意の射殺かどうかの議論はべつにして、このカメラマン長井健司さんの生き方に共感をおぼえる。
生死を賭けた取材ではないけど、わたしも中国を旅行しているとき、なんとかして日本人がいちども行ったことのないところへ行ってみたくて仕方がなかった。
いつかブログで触れるかもしれないけど、青海湖の近くにある、外国人立ち入り禁止のデリンハという街へ乗り込んだのはそういう理由である。
戦場カメラマンが危険な地域へ乗り込むのも、その悲惨さを伝えたいという欲求以外に、誰も見られない現実というものを、自分の目で見てみたいという欲求があるのではないかと思うのである。
長井カメラマンは死んだとき50歳、独身だった。
この人もわたしといっしょで、家庭や平穏な生活よりも、自分が見たいものを見ることのほうに人生の価値を見出す人間のひとりだったらしい。

| |

« 日本山名辞典の2 | トップページ | 集団自決 »

揚げたてニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ミャンマー:

« 日本山名辞典の2 | トップページ | 集団自決 »