日本山名辞典
「日本百名山」 を書いた山岳紀行作家の深田久弥は、じっさいに山に登らなくても、書斎で山について思索にふけっているような人も、立派に登山家の資格があるといっている。
どうせ、どんなに元気な人だって、いつかは歩けなくなる日がくるのだ。
わたしも登山が好きだが、最近だんだん書斎派になってきた。
わたしの場合、年齢じゃなく、なまけ者だっていうのが原因なんだけどね。
ちょっと前までNHKの 「小さな旅」 が、登山シリーズで山の番組ばかりやっていて、部屋でそんなもんばかり観ている自分がなさけない。
わたしの部屋に 「コンサイス日本山名辞典」 という小さな辞典がある。
活字中毒のわたしはこれにもいちおう目を通してみた。
すると山に興味のある者にとってはこいつはなかなか有用、楽しみのある本であることがわかった。
収録されている山の数はひじょうに多く、富士山からはじまって、八ヶ岳の高見石や、甲武信岳の一突岩にすぎない鶏冠山のような山まで載っている。
石川県の丸山という山なんか、たった63メートルしかないそうだ。
うれしかったのは、詩や歌に登場する山については、その作品名や作者名、歌なども解説されている点である。
ほかにも知名度のある山については、山名のいわれや関わりのあった事柄について、いちおうの解説がされていて、茅ケ岳の項にはちゃんと、山岳紀行家・深田久弥終焉の地であると解説がされていた。
山岳紀行作家は登山中に倒れたのである。 なんて幸運な死に方だったろう。
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