オスカー・ピーターソン
ジャズ・ピアニストのオスカー・ピーターソン氏が亡くなった。
わたしはこの人のアナログ・レコードを 1枚持っている、というか、1枚しか持ってない。
ジャズのほうではかなり有名な人なので、ジャズを聴きはじめたころ試しに買ってみたのだが、あまりおもしろいと思わなかったのである。
わたしはロックのほうからジャズに入った人間である。
ビートルズから始まって、しだいにクリームやブラッド・スエット・アンド・ティアーズ、アル・クーパーのジャム・セッションのようなジャズっぽい演奏を聴くようになり、そのあげくにジャズに興味を持つようになったのである。
だからジャズというものはクリームに代表されるような激しいインタープレイばかりなのだろうと思っていた。
ところがオスカー・ピーターソンの演奏は、インタープレイと呼べるものではなく、たんにピアノやベースのソロが交互に出てくるだけだった。
わたしは失望して、それっきり彼のレコードは買わなかった。
じつはジャズの演奏では彼のようなスタイルがいちばん多いのだが、上記のようなロックの演奏を聴きなれたものにとっては、はなはだ迫力に欠けてしまう。
その後いろいろなレコードを聴いて、ピーターソンのようなスタイルの演奏の中にもけっこうおもしろいものや迫力のあるものがたくさんあることを知った。
たとえばジャズ・メッセンジャースやエリック・ドルフィーなどが、交互にソロが出てくるようなスタイルながら、迫力のある演奏をしているし、マイルス・デイビスも静かだけど傾聴に値する知的な演奏をしている。
だから、わたしがオスカー・ピーターソンにもどることがなかったのは、ほかの理由かも知れない。
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