オーディオ特集
ラーメン屋でラーメンをすすっているときでさえ、その気があれば、いろいろと情報を仕入れられるものだ。
わたしは読書魔なので、ラーメンを食べながら、そのへんに置いてあるすりきれた週刊誌なんかを拾い読みし、どこの女優が誰と別れたのなんていう新聞の三面記事みたいな情報を仕入れたりするのである。
ラーメン屋じゃないけど、たまたま用事があって入った店で、用事がすむまでのヒマつぶしに置いてあった雑誌を読んでいたら、最新のオーディオ特集という記事が載っていた。
オーディオ特集というのはなつかしい言葉だ。
わたしの若いころはしょっちゅうマランツだ、JBLだなんて特集が、ふつうの雑誌にまで掲載されていた。
その道の専門誌まであったくらいだ (あっ、これは今でもあるらしいけど)。
最近こういう特集があまり見られないのは、原盤がレコードではなく、ほとんどCDになってしまったことと関係があるんではないか。
CDが初めて発売されたころ、純粋なオーディオ・ファンから総スカンをくらった。
やっぱり本気で音楽を聴くならアナログ・レコードにかぎるというわけである。
ところが悪貨が良貨を駆逐するのは世の習い、いつのまにかCD全盛の時代になり、さらに今では、ネットから音楽を入手して聴くのも大流行だという。
こうしたものを否定しては何も言えない時代になってしまった。
つまり原音がどんどん堕落していくのに、何万円もするアンプ、スピーカーに凝っても仕方ないという時代になってしまったわけだ。
かってアナログ・レコードでオーディオについてうんちくを傾けていたむきには、尻のへんがこそばゆい思いがあるんでないかと推察するが、それでもとにかく、ひさしぶりのオーディオ特集である。
わたしにとっては音響機器の特集はまだまだ意味がある。
なんとなれば、わたしの部屋には捨てるに捨てられないアナログのLPレコードが、数百枚 (最近数えてないから正確な枚数はわからないけど、最盛期には7百枚ぐらいあった) もホコリをかぶっているからである。
つまり高価な音響機器を楽しむための音源だけはそろっているわけだ。
かってのオーディオ・ブームのころから現在までの時間差を考えると、世間にはこういうお宝をかかえたまま、どんどん成仏していく老人が多いんだろうなと思う。
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