シャレード
「世界残酷物語」 について書いたとき、ついでにアカデミー賞について調べてみた。
残酷物語の主題歌が歌曲賞にノミネートされた年 (‘63年) に歌曲賞を受賞したのは 「パパは王様」 というナンバーになっていた。
しかしわたしはこの曲について何も知らない。
シナトラなどが歌っていてそれなりよい歌らしいけど、映画の博識と勝手に自負するわたしが知らないところをみると、スタンダードなヒット曲にならずに終わった曲らしい。
アカデミー賞にはふつう5つの曲がノミネートされるんだけど、同じ年にノミネートされた曲の中でいまでも残るヒット曲といったら、残酷物語の主題歌 「モア」 と、ヘンリー・マンシーニの作曲した 「シャレード」 だろう。
シャレードについては、博識を自負するわたしが幼少のみぎりからよく聴いた曲である。
わたしの家は昔から貧乏だったけど、なぜかビクターのステレオが早くからあったので、当時からませガキだったわたしは、さっそくドーナツ盤のシャレードを買ってきて、すりきれるくらい聴いたものである (すりきれたのはたいていレコード針のほうだった)。
まだ映画は観てなかったし、その音楽も知らなかったのにわざわざ買ってきたのは、レコードのジャケットにオードリー・ヘプバーンの写真が使ってあったかららしい。
わたしは青二才の分際ですでに映画好きだったのであるよな。
オリジナルのシャレードは男女のコーラスによって歌われる曲で、歌のとちゅうで混合コーラスと入れ替わるようにわきあがってくる女性コーラスがなんともいえず素敵である。
さいわい歌詞カードがついていたものだから、わたしは歌詞の意味を知りたいと思った。
感情のおもむくままに、無謀な企てに挑戦してしまう性格も当時からのものであるのよな。
当然ながら劣等生のわたしに歌詞の翻訳なんかできるわけがなく、この企ては頓挫したのであるが、シャレードは有名なスタンダード・ナンバーなのでテレビなどで歌われることも多く、それにはたいてい字幕がついているので、ずっとあとになってからわたしはその意味を知ることができた。
引用すると著作権がうるさいので、一部だけを紹介すると、それはこんな詩である。
振り返ると あなたはもういない
暗い舞台の袖では 音楽が鳴り続けていた
悲しみのセレナーデ この胸の奏でる調べ
私は耳をかたむけ
シャレード (パントマイムのような遊びの一種) を演じ続ける
わきあがってくるような女性コーラスは、悲しみのセレナーデという部分である。
じゅうぶんアカデミー賞に値する音楽であるけど、マンシーニはこの前年と前々年にも受賞しているので、さすがに3回続けてはと見送られた経緯があるそうな。
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