柴又帝釈天
昨日の休日は早朝からバスに乗った。
見るとあちこちで美容院がオープンしていて客がごったがえしている。
はてね。美容院てのはこんな時間からやっていたっけかねと不審に思いつつ、駅に行って、晴れ着のお嬢さんたちを何人も見かけて、あ、そうか、今日は成人式かとようやく思いついた。
わたしが成人式と縁遠くなって、もうそうとう経つから仕方がないよな。
早朝からバスに乗ったのは、むかしの山登り仲間から、柴又の帝釈天に初詣に行かないかと誘われたからである。
初詣はとっくにすませているんだが、たまに古い仲間と呑むのもいいだろうと、寒いなかを出かけてみたのだ。
柴又の帝釈天というとフーテンの寅さんのふるさとである。
寅さん映画にぜんぜん興味のないわたしが行ってみるのは初めてである。
帝釈天という名前からはお寺なのか神社なのか悩んでしまうが、縁起を読むと日蓮宗のなんとかかんとかと書いてあるから、これはお寺になるらしい。
寅さんのおかげで日本人なら誰でも知っているお寺であるけど、お寺そのものとしては思ったより大きくない。
それでも、門やお堂をかざる彫刻は日光東照宮にひけをとらないような立派なもので、一見の価値はある。
彫刻もしくは見学者を風雨から守るためなのか、彫刻はガラス張りの通路を一巡しながら見られるようになっていた。
一巡しながら、寺のうらにある遂渓園という庭園も見学できる。
寒い日だったので靴をぬいで歩くのはちと辛かったが。
帝釈天から徒歩5、6分の矢切の渡しにも行ってみた。
寒風がひゅうと吹いていたので、渡しのすぐそばまで行くのは止めにして、江戸川の土手の上からながめると、観光客のために舟が行ったり来たりしているが見えた。
昔ながらに手こぎの舟だけど、エンジンもついているようだった。
向こう岸の舟つき場のまわりだけ竹ヤブが茂っており、なんとなく股旅の紋次郎サンが似合いそうな雰囲気が残っている。
土手の上から「山本邸」という瓦屋根の立派な日本建築も見える。
ちょっと興味はあったが、仲間たちの目標は、土手のわきの公園からエレベーターで下りられる「寅さん記念館」だった。
「寅さん記念館」は豪華な近代建築である。
わたしが寅さんに興味がないことはもうふれたけど、ひとりで「山本邸」まで行ってみるのもおっくうになって、ただ館内をふらふらしていた。
帰りにもういちど帝釈天にもどって、門前の店でイッパイやっていくことにした。
ここにはよく知られた料亭や名物料理もあるのだが、わたしたちが入ったのはモツ煮込みを売り物にする食堂だった。
どんな店に入るかを決定するのは、場に居合わせたメンバーのうち、いちばん財布の中身が軽い人間に合わせるのがわたしたちのルールである。
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