寺田寅彦
新聞に寺田寅彦についての記事が載っていた。
寺田寅彦というと、わたしは読むまえにちょっと注意をする。
「足摺岬」 などの作品で知られる、同じような名前の昭和の作家がいるからである。
寺田寅彦は夏目漱石よりすこしあとの明治の作家で、作家というより本職は科学者だった人である。
新聞の記事は、彼と最初の妻との悲しい運命を書いたもので、うーん、この作家にはこんなこともあったのかと、わたしにもいくらかの新知識をもたらしてくれた。
だが、同時にこの作家は滑稽な連想ももたらしてくれる。
夏目漱石の 「わが輩は猫である」 の中で、水島寒月クンはユニークで愉快な人物として描かれているけど、この寒月クンのモデルになったのが、当時漱石の家に入りびたっていた若き寺田寅彦だからである。
ドングリのスタビリチーを論じてみたり、モチを食べて前歯を折っちゃったり、研究に使うガラス玉を豆つぶみたいに磨きつぶしたりと、猫の中で描かれる寅彦クンは抱腹絶倒の対象である。
「猫」 とこの新聞記事は、同じ人物の極端な両側面に光を当ててくれる。
寺田寅彦はユニークで、やさしいこころをもった人だった。
これは明治の日本人に共通する特質だったかもしれないけど。
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