チベット
チベットの騒動は収まったのだろうか。
わたしは中国のこと全般について関心をもっているので、注意深く見守っているんだけど、さて、何が何してどうなってんのやら。
中国政府はぜんぶダライ・ラマ14世のさしがねだと言い張っているけど、よくわからないのは、そのラマ14世自身にとっても、今回の、デモというか騒乱というか暴動というか(受け取る人の立場によって使い分けなくちゃいけない)が、想定外だったような感触があることだ。
最近の14世は中国との対話を望んでいるようなので、ふつうに考えれば、彼がいまここで騒動を起こすとは考えにくい。
新聞などによると、14世のやり方は手ぬるいというので、強行的に独立をめざす一派もいるらしい。
チベットをめぐる運動もけっして1枚岩ではないということだろうか。
中国では貧富の差が拡大し、くわえて役人の汚職などで国民の反発が強まっているから、チベット人ならずとも、ちょっとしたきっかけですぐ民衆が暴動に走る土壌がある。
オリンピック直前ということで、いまなら中国政府も手荒なマネはできないだろうと、誰かが焚きつけた可能性はもちろんあるけど、今回の騒ぎの本質はそうした不満民衆の暴動と解釈すべきだろうか。
チベット側から明白なメッセージが発信されないことや、はっきりしたリーダーの存在が浮かんでこないことなどからも、なんだかただの暴動のような気がしないでもない。
もちろんダライ・ラマ14世も政治の権謀術数はよく理解しているだろうから、わたしたちのあずかり知らぬところで、誰がどんな策動をめぐらしているかわからない。
中国当局の14世に対する罵倒ぶりも目にあまる。
14世は話し合いを否定していないのだから、それに応じるだけの度量があってもいいんじゃないか。
ひょっとすると、オリンピックが終わるまでは何がなんでも現状維持で押し通し、その後は話し合いに応じるつもりかもしれない。
わたしが心配するのは、チベットに原理主義者のような、目的を達するためなら暴力破壊をいとわない集団が浸透しつつあるんじゃないかということだ。
そういう集団より、ダライ・ラマ14世のほうが、中国にとっても話し合いの相手としてよっぽどふさわしいだろうに。
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