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2008年4月 9日 (水)

投書

大戦中の沖縄の集団自決について、そんなことは命令していないと、もと日本軍の戦隊長という人が名誉毀損で告訴したけど、口頭で言ったのか、うむをいわせぬ雰囲気があったのかの違いぐらいで、自決命令はうごかぬ事実だと、わたしは思っている。
歴史というものは、細部にこだわるよりも全体をながめたほうがよくわかる場合もあるのだ。

朝日新聞の投書欄にこんな投書が載っていた。
投書した人は、この戦隊長とおなじくらいの老齢の方である。
全文の引用はひかえるけど、要点は以下のようなものだ。
「自決を命令しなかったというなら、死ぬなと言うべきだったのではないか」
「自分の部下には死ねの命令を下したはずの人が、なぜ自分は生きて帰ってきたのか」
「失われた若者たちが生きていたら、いったいどんな人生を送ることができただろう」
「名誉毀損を訴えるなら、死んだ部下たちの供養をしてからにすべきではないか」

この戦隊長サンも、おおかたどこかの団体にそそのかされて告訴沙汰におよんだのだろうけど、この投書の意味は重い。
投書氏はいう。
「そうした若者を死においやった責任について、まず語り」
「戦争の非を悟り、部下や島民に鎮魂の祈りをささげるべきではないか」
「それでこそ余生の名誉もまもられ」

つまらぬ「世論に便乗してとの批判も免れるのではないか」

わたしも同感である。
沖縄戦で生き延びた将官クラスの軍人には、他者に対するまぎれもない罪があると思う。

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