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2008年5月19日 (月)

中華思想

SAPIOという雑誌で、マンガを連載している小林よしのりさんが、今回の最新号から中国をテーマにした連載を始めるらしい。
真摯な研究なら、それはそれでけっこうなことだけど、第1回を見たかぎりでは、どうも公平で客観的なものとは思えなかった。
彼もまた 「中華思想」 という便利な言葉を用いて、はじめから中国を偏見で見ているようである。

彼にかぎらず、中国を攻撃する人のあいだに中華思想を問題にする人が多い。
中華思想というのはよしのりさんに言わせると
 その中心が中国というような生易しい感覚ではない。
 中国以外はすべて「化外の地」という思想

だそうだ。
ほんとうだろうか。

たしかに漢、唐のような古い王朝時代から、最近では清の時代の中国まで、そうした思想は連綿と続いていたようである。
しかし清の時代になって、自分たちが世界の中心であるという思想は、海を越えてやってきた欧米列強 (そして日本) によって、完膚なきまでに叩きのめされた。
日清戦争とそれ以降の歴史は、中国人自身に中華思想などというものが無意味なものであることを思い知らせたはずだ。
いまの中国の若者は、地球が丸いことも、その上に多くの国があり、とっくに月にまで到達した米国やロシアという大国があることもちゃんと知っている。
そういう状況下で、自分たちが世界の中心であると考えている人間がいるとは、わたしにはとても信じられない。
わたしもこの国がたくさんの問題をかかえていることはよく知っているし、チベットを引き合いに出して中国を非難するのは民主主義国の権利でもあるけど、これは中華思想とはまったくべつの問題であると思う。

お願いだからこの言葉を使うのだけはやめてくんないか。

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メルマガ愛読者です。 いつも鋭い分析を楽しみにしております。  北京五輪もそうですが、文明国が中国に対するときに、政治(人権・世論)と 経済(貿易など)が相克して、正面切った対応ができないかのようなニュアンスを 感じるのですが、実際は、中国の台頭は世界全体として... [続きを読む]

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