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2008年6月24日 (火)

空軍大戦略

M007

テレビで 「空軍大戦略」 っていう映画が放映された。
もう40年も前の映画だけど、これは原題をバトル・オブ・ブリテン (大英帝国の闘い) といって、第二次世界大戦中の英国とドイツの攻防を描いた大作である。
大作だから、出演している俳優もそうそうたるものだ。
そうそうたる俳優が出演していれば、ぜったいにいい映画になるかっていうと、そうもいかないのがムズカシイところだが、航空ファンにとって、この映画の見どころは別のところにある。

映画では、英国を空襲するドイツ空軍とそれを迎え撃つ英国空軍の闘いが主要テーマになっており、往年の名機、英国のスピットファイヤと独軍のメッサーシュミットの空中戦がひんぱんに登場するのである。
模型やモックアップもあるけど、なんでも当時まだ現存していたそれらの飛行機をヨーロッパ中からかき集めたらしい。
迷彩塗装のせいもあって、出てくる飛行機がみんなポンコツみたいなくすんだ色をしていて、それがいかにも本物くさくてカッコいい。 かってのプラモデル少年としては、歓喜のなみだボロボロといった映画なのである。
そんなプロペラ機が、ドーバー海峡やイングランドの美しい田園風景を下に見て、ツバメのように飛び交うシーンは牧歌的としかいいようがない。

最近はSF映画でも戦争映画でも、CGによるせせっこましいアップテンポの映画ばかりで、こういうのんびりした?映画は少なくなった。
しかしこれはCGのせいではなく、映画製作者の資質の問題だと思う。
高性能なCGを使えば、「空軍大戦略」 と同じか、それ以上の作品が作れそうな気がするけど、どうだろう。
たとえばスタンリー・キューブリックは初期のCG技術を使ってひじょうに詩的、哲学的な 「2001年宇宙の旅」 を作った。
彼が現在 「2001年」 を作るとしたら、最新のCGを使って、もっと完璧な、そしてやはり詩的な映画を作ったにちがいない。
どんな映像でも可能にする技術を手にしたとたん、人間のほうがそれを生かす方法を忘れてしまったとは皮肉なことだ。

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