シド・チャリシー
新聞に訃報。
シド・チャリシーさん。
この名前を知らなくても恥じることはない。
わたしも知らなかった。
それも、ジーン・ケリーやフレッド・アステアと共演しているくらいだから、そうとうに古い時代の人である。
いくらなんでも彼女をリアルタイムで観たというほど、わたしはおじいさんではないのである、ということを強調しておく。
わたしが彼女を知ったのは、ずっと後世になってからMGMミュージカルのさわりだけを集めた 「ザッツ・エンタテインメント」 という映画によってである。
「エンタテインメント」 が公開されたときでさえ、すでに彼女は過去の人だった。
しかしこの映画で、彼女は他の大勢のミュージカル・スターとともに、ナレーターを務めている。
そんな彼女をながめて、へえー、美人ていうのはトシとっても美人だねと感動したおぼえがある。
なにより立ち居振る舞いがしゃっきりして、かって有名ダンサーだったことをまざまざと感じさせる人だった。
「エンタテインメント」 で彼女の踊るシーンはいくつも観られるけど、ボクシングジムで彼女が踊りながら画面の中央に進み出るシーンはわたしをぞくぞくさせるし、「バンドワゴン」 でアステアと組んだ有名かつ官能的なダンスシーンなど、今でも (今だからこそ) 感動する名場面は多い。
惜しい人を失ったという言い方は86歳だった彼女にふさわしくない。
彼女の美しさは映画フィルムの中で永遠に輝いているのだ。
わたしたちはそこで、いつでも彼女に会えるのである。
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