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2008年9月 9日 (火)

地下水道

M008

NHKのBSでポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダの特集をやる。
その予告のようなかたちで、ワイダ監督のインタビュー番組が放映された。
彼の作品について彼自身が語るのを観るのはひじょうに興味深い。

この映画監督の代表作といえば 「灰とダイヤモンド」 で、どこの国の映画ベストテンでも上位に入る文句なしの傑作である。
ただし、難解な部分もあるので、よっぽどの映画好きでもないとお終いまで観るのはツライという映画だ。
わたしはそのよっぽどのなんとかに属する人間なので、テレビで放映された 「灰とダイヤモンド」 と、もうひとつの傑作 「地下水道」 などを録画しておいた。
観ている時間はあまりないのに、とにかく録画しておけというのは、映画好きのわるいクセだ。

「地下水道」 は第二次世界大戦のとき、ワルシャワで蜂起して、ドイツ軍相手に絶望的な戦いをいどんだレジスタンスの物語である。
冒頭に 『悲劇の主人公がそろった。彼らの人生の最後をお目にかけよう』 という非情なナレーションが流れる。
出だしから絶望的な気分にさせられてしまう映画なのである。

レジスタンスは下水道に逃げ込むのだが、ドイツ軍に追われてつぎつぎに殺されていく。
最後まで生き残った男女の兵士が、広い川をのぞむ排水口にたどりつくと、そこには鉄格子がはまっていた。
万策尽きた兵士は河の対岸をじっと凝視する。
そこに侵攻してきたロシア軍がいたのだが、彼らはレジスタンスを見殺しにしたのである。
映画の制作当時、ポーランドはソ連の勢力下にあったために、公然とロシア軍を非難することはできませんでしたとワイダ監督はいう。
対岸にいたはずのロシア軍は映画に出てこないが、その方向を見つめる女性兵士の表情に、ワイダ監督は、大国のおもわくに翻弄されるポーランドの悲しみを暗示させたのである。

名作であるけれど、パイレーツだとかハリポタと違うからな。
いまどきの若いもんがこういう映画を観たがるかしらん。

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