ノーベル賞
日本の物理学者がノーベル賞を受賞した。 しかも3人いっぺんに。
わたしは (へそまがりだけど) 科学を信ずる合理主義者だし、平和賞や文学賞のように時代のおもわくに左右されない分野の賞だと思うので、すなおにお祝いしたい。
ノーベル賞は権威のあるものだが、SF作家のアイザック・アシモフが、ずっとむかしあったノーベル賞の汚点ともいえるエピソードについて書いていて、それがなかなかの名文だったので、いまでもわたしはよくおぼえている。
1916年にノーベル物理学賞を受賞すると思われていながら受賞しなかったヘンリー・モーズリーという英国の科学者がいる。
彼は元素の基本的な性質について研究し、周期律表という、科学の分野で不動ともいえるような重要な発見をした。
その発見の重要性からすれば、誰がみたってモーズリーがノーベル賞を受賞するのは当然だと思えたのに、彼は第一次世界大戦で戦没してしまい(27歳だった)、戦争中だということで、この年のノーベル賞授与はなかったのである。
ノーベル賞というのは人類に対する貢献度よりも、本人が授賞式に参加できるかどうかのほうが重要らしい。
アシモフは、今からでも遅くない、1916年のノーベル賞をモーズリーに与えるべきだと主張している。
ただしこの文章は書かれてからかなり経っているので、念のためネットで調べてみたら、やはりまだその年のノーベル賞は該当者なしになっていた。
わたしはノーベル賞なんてものにぜんぜん縁がない人間なので、もちろんこれで今回の日本人の受賞に水をさすつもりは毛頭ないんだけど、こんなエピソードもあるよという雑談のつもりで書いてみた。
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