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2008年10月17日 (金)

吉井勇

前項で金融危機についてふれた。
こういう話題ばかり考えていると、怒りで精神的不安定になりかねないので、そういうときは詩でも読んでこころを洗うにかぎる。

 かにかくに祇園は恋し寝るときも枕の下を水のながるる
京都の祇園で放蕩をくりかえし、ついに身代をかたむけた歌人・吉井勇の歌である。
祇園ではいまでも 「かにかくに祭」 というのが続いているそうだ。
それがこの歌の作者を追悼するものなのか、それとも祇園につぎこんで破産する人がもっともっと輩出してほしいという、祇園のおもわくによるものかわからないけど、まあ、わたしの好きな歌である。

吉井勇が放蕩できたのは彼がお金持ちのぼんぼんだったせいらしいので、それだけだったら尊敬どころか軽蔑に値してしまう人なんだけど、遊びすぎて零落したり、奥さんに不倫されてショックで山奥に隠遁したりと、いろいろ流転の人生を送った人らしい。
そこまで徹底すると、ようやくわたしのこころの中で、彼を詩人として認めてあげようというやさしい配慮が働いてくる。

彼は祇園だけではなく伊豆を背景にした歌もたくさんうたっているから、湯ヶ島の近代文学博物館に行ったとき、なにか筆跡でも残っていないかと期待したが、あそこには何もなかった。

 伊豆も見ゆ伊豆の山火も稀に見ゆ伊豆はも恋し吾妹子のごと
こんな歌で伊豆を恋慕った歌人に対してつめたいんではないか。

BSで放映された溝口健二の 「雨月物語」 を観ていたら、スタッフ名の中に吉井勇の名前を発見したことがある。
おや、こんなところにと、旧知に出会ったような気分がした。

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