大掃除
彼女をデイトに誘ってみたら、今日は大掃除をしなくちゃいけないのでダメといわれた場合、男たるものどうすればいいだろう。
答えのひとつが、こっちも大掃除をするってことである。
デイトがダメではどうせほかにやることはあまりない。
そこでふだん不精なわたしであるが、一念発起で年末の大掃除をすることにした。
まずほこりをたっぷりためこんだ部屋のカーテンの洗濯だ。
全部いっぺんに洗濯機に放り込んだら洗濯機がまわらなくなってしまった。
風呂場の天井にはカビがみえる。
カビとり剤を吹きかけ、こっちは水泳用のメガネをかけてあお向いてゴシゴシ。
水泳用のメガネがないと、そそっかしいわたしのことだから目の中に塩素系の薬品がしたたり落ちる可能性がある。
台所のガスコンロや流しのまわりも薬剤を使ってゴシゴシ。
だいぶ以前に仕掛けておいたゴキブリホイホイに大きなゴキブリがかかっていた。
パソコンやテレビのまわりは配線がクモの巣のようである。
このさい2台あった古いVHSビデオデッキは処分することにしたので、これだけで配線は目にみえてすっきりした。
掃除をしていたら 「広辞苑」 が出てきた。
使わないときは枕にでもなりそうなぶ厚い辞書で、買ったとき5000円もしたものである。
ただし最近では電子辞書版が出ているので、こんな厚くて重い辞書を使う人はあまりいないようだ。
だいたいわたしからして電子辞書の愛好家なので、活字版の 「広辞苑」 があることなど最近ではすっかり忘れていた。
つい、なつかしくなってパラパラとページをめくったら、これが活字中毒者のオソろしいところだけど、掃除なんかほっぽらかしてこれに見入ってしまった。
活字版と電子版の最大の違いは、さし絵があるということである。
最新の電子版にさし絵が入っているかどうか知らないが、辞書の場合、さし絵のあるなしは便利さの大きな違いとなる。
たとえばの話、“大篆” “小篆” というモノについて、文章だけの説明ではどんなものかさっぱりわからない。
活字版のほうはさし絵つきなので一目瞭然である。
こいつはおもしろい、捨てるには惜しいというわけで、厚くて重くて、部屋がいつになってもかたづかない元凶である「広辞苑」は、あいかわらず部屋の一角に居座ることとなった。
ああ、早くさし絵つきの電子版を出してくれえ。
部屋の掃除がかんぜんに終わるまでにはまだ日にちがかかりそうだぞお。
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