エコ対策
知り合いが業界紙(というほどのもんでもないが)に、鍋料理が温暖化防止に効果ありと、風が吹けばおけ屋が儲かるみたいなことを書いていた。
鍋料理をすればコンロの火で部屋が暖まるからストーヴが必要ないってことだそうだけど、ストーヴがコンロに変わっただけで、けっきょくCO2を排出するのはおんなじじゃないか。
これはじつは農水省のキャッチフレーズなんだそうだ。
お役人さんの考えることは判じるにも手間がかかるもんだ。
森鴎外の 「鶏」 という短編は、この作家が書いたゆいいつのユーモア小説だそうだけど、この中にエコ対策や環境保護の模範となるようなことが書かれている。
森鴎外は軍医総監という、軍隊の中のお医者さんとしては最高位に登りつめた人だから、とうぜん軍隊の内情や規律にも詳しかった。
明治の日本軍は朝鮮や満州などに出兵することが多く、現地では水や食糧の供給も思うにまかせないことが多いから、そうしたものをいかに大切に使うかについて、兵士たちに心得のようなものを持たせていた。
そうした心得のひとつに、洗面器2杯の水で体を洗う (つまり入浴をすませる) というのがある。
やり方については 「鶏」 の中で鴎外が説明している。
これなんか現代でも通用するエコ対策の見本といっていいだろう。
豊かな時代には豊かな生き方がある、そこまでしてと反論する人がいるかもしれないけど、現代はそろそろ豊かさにかげりのみえてきた時代だ。
エコ対策というのはまだ余裕のあるときにこそ有効なもので、いやおうなしにエコ対策をしなければならなかった、戦後の焼け跡時代みたいになってからでは遅いのだ。
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