少年少女科学名作全集
先日わたしの所属する組織の新年会があってと、そんなことはどうでもいい。
わたしは組織なんてものにあまり興味はないのである。
もしも退屈するような集まりだったら困るなと考え、とちゅうで本屋に寄ってヒマつぶしのための文庫本を買っていくことにした。
ここで見つけたのがアーサー・C・クラークの 「楽園の日々」。
表題からするとスリランカにおける回想録のようなものらしい。
彼の小説は読むにたえないが (あくまで個人的には、だよ)、エッセイはひじょうにおもしろいと、これは自信をもっていえるので即ゲット。
帰宅して目を通してみたら、内容に偽りアリだった。
わたしはまた 「未来のプロフィル」 のような科学エッセイか、「スリランカから世界を眺めて」 のような雑多な随筆の寄せ集めを期待していたのだ。早川書房にはもうちっとあきらかなタイトルをつけろよと御忠告申し上げる。
ま、敵の策略にひっかかるほうがわるいけど。
この本はクラークが子供のころ熱中したSF雑誌についての回想である (少なくとも半分ぐらい読んでみたかぎりでは)。
ちょっとがっかりしたけど、雑誌のウラ話というのはそれなりおもしろいと言えなくもない。
クラークは1930年代のSF雑誌から説き起こして、彼なりの解説や皮肉を書き連ねているのだが、そんな昔の本を現代の作家 (それもアマチュアとはいえない科学者) がけなすについてはちょっとアンフェアな気がする。
そんなことはさておいて、この文庫本はわたしの子供時代の記憶をよびさました。
早熟だったわたしも、小、中学生のころから本のあいだのシミみたいに図書館に入りびたり、もちろんSF小説もその重要な食欲の対照だったのである。
そのころ雑誌の広告に目をとめたことがある。
それは近々発刊されるSF全集の宣伝であって、「赤い惑星の少年」 だとか 「希望号の冒険」 などというタイトルが、わたしの胸を激しくゆさぶった。
ただ全集をそっくり買えるほどわたしの家は裕福ではなかったので、しばらくは指をくわえて地団太ふむしかなかった。
まもなくそれがそっくり学校の図書館に並んだ。
それを見つけたときのわたしの興奮が想像できるだろうか。
ああ、当時の学校の図書選定の正しさよと、わたしはいまでも教職員の皆さんに感謝しているくらいである。
このときのSF全集はいったいどんなものだったのだろう。
ひょっとするとモノ持ちのいい人がいて、古書としてネット・オークションにでも出品しているかもしれない。
図星だった。出ていた!
これは講談社が出した 「少年少女世界の科学名作全集」 というもので、これの 1~15巻をそっくりオークションに出した人がいる。
あいにくわたしは小、中学生向けの本を今さら読もうとは思わないが、現時点で16万円の値がついているから、興味のある人は早いもの勝ちだ。
子供向けのSF全集だけど、執筆者はアシモフやハインラインなどそうそうたるものなのである。
この中に、核戦争で死滅した土地から家族がヨットで船出をするという内容の 「希望号の冒険」 が見当たらないのは、わたしの記憶違いだろうか。
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