満韓ところどころ
前項でふれた夏目漱石の 「満韓ところどころ」 だけど、てっとり早くテキスト版をネットからダウンロードしたあと、読みやすいように自分で縦書きに直した。
つぎにやったのは、文章のいたるところにカッコしてふってあるふりがなの削除である。
なにしろ明治の文章だから、現代っ子や漢字の多い文章に不慣れな人には読みにくいだろう。
そう考えてやたらにふりがなをふったらしいけど、わたしにとってひじょうに目ざわりだ。
ただ削除作業の段階で気がついたのは、ありふれた漢字でも明治時代と平成 (昭和もふくめて) では、読み方が違うものがあるということ。たとえば
『大きな足に牛の生皮 (きがわ) 縫合せた』
『足を踏込 (ふんご) んだ』
『向うの甲板にいる乗客 (じょうかく) の』
“なまかわ”、“ふみこんだ”、“じょうきゃく” だっていいじゃないか。
これが明治の読み方なのかと疑問に思ってしまう。
青空文庫に文章を載せて 『入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さん』 だそうだけど、もちろんそれなり見識のある人たちなのだろう。
そしてこの読み方には根拠があるのだろう。
読者の中には明治と平成の漢字の読み方比較論なんてものを研究している人もいるかもしれないから、ふりがなを最初から削除しろとはいわないけど、わたしの場合、わからない漢字はとばして、表意文字である漢字の特権をふりまわした勝手な読み方をする。
ようするに内容がわかればいいのである。
読み方や単語の意味はわからなくても、スジがわかればいいという方法で、わたしはこれまで古典なども読破してきたのだ。
英語ではこの方法が通用しないから、それはネット上の翻訳機能を使う。
もちろんそんなものはぜんぜんアテにならないからサッパリわからないけど。
すっきりさせて読みやすくなったあと、つぎに感じたのは、朝日新聞の連載記事だったとは思えない差別用語の乱発だった。
これはまた別の機会にふれよう。
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