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2009年3月10日 (火)

春樹クン

わたしはわりあい本を読むほうだから、村上春樹も当然読んでいると思っている人も多いかもしれない。
でもわたしは義務で本を読んでいるわけじゃなく、おもしろいから読んでいる。
だからそうとうに有名な作家でも、おもしろいと思わなければぜんぜん読まないことがある。
たとえば米国のО・ヘンリー。
「最後の一葉」 など、日本でもよく知られた作品があるけど、わたしはこの作家の作品はこれしか読んでない。
読んだ理由も、教科書に載っていたもんでという頼りないもの。

村上春樹クンについては、以前彼が週刊朝日にエッセイを連載していたので、作風もあるていど知っていたけど、それを読んだかぎりではどうもきわめて常識的なヒトらしかったので、それ以上読む気がおきなかった。

この作家は最近エルサレム賞というイスラエルの文学賞をもらった。
この賞はノーベル賞にも影響を与えるような権威のある賞だというけど、ちょうどイスラエルがパレスチナに侵攻して乱暴狼藉を働いていた時期だから、作家にとって賞を受け入れるかどうかの判断はむずかしかったことと思われる。
賞をもらえば、あんな非道なイスラエルの賞なんかもらってと世間から非難される。
そんな世間が、将来日本の作家がノーベル賞をもらえば、拍手喝采するに決まっているのである。
春樹クンがとった方法は、賞はもらうけど、受賞の場でイスラエルのガザ侵攻に抗議するという、いずれの顔も立てる (いずれの顔もつぶす?) ということだった。

9日の新聞に春樹クンの言い分を紹介する記事が載っていた。
わたしは常識というものがきらいだけど、彼のとった行動はなかなか勇気のいるものだし、常識的な作家のとりうる最良の選択肢はこれ以外なかったと思うから、ま、いいんじゃないか。

同じ日の新聞にレバノンの作家の発言が、英訳の和訳というかたちで掲載されていた。
この作家はもちろんアラブ側に立って発言しているのだが、そこはそれ、大人の対応ってやつで、正面から春樹クンを非難するようなことはしていない。
そればかりか、彼に対して敬意すら表明している。

このへんは常識や大人の対応が火花を散らしているという塩梅だな。
わたし自身はイスラエルとパレスチナの問題で、どっちかというとパレスチナ側を非難するという、日本人ばなれした非常識な人間なので、いろいろ考えるところがある。

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