12人の怒れる男
裁判員制度がスタートだそうだ。
この制度についてよく引き合いに出されるのが 「12人の怒れる男」 という映画。
わたしのDVDコレクションの中にあるので、あらためて鑑賞してみた。
少年の父親殺しを裁く12人の陪審員 (ぜんぶ男) の物語で、舞台は裁判所の控え室だけ。
ここでえんえんと男たちのかっとうが描かれるのだが、見ていてあきない。
傑作といっていい映画である。
12人のうちの11人までが有罪と認めている中で、たったひとりのガンコなおじさんが異議をとなえる。
裁判は多数決ではなく全員一致が原則なので、他の全員がこのひとりをなだめたりすかしたり、非難、罵倒したりするのに、このおじさんはくじけない。
ほんの小さな疑問を追求していって、ひとりまたひとりと同調者を増やしていき、とうとう最後に全員一致で無罪を勝ち取るのである。
映画は米国の民主主義の理想を具現したものとしても有名である。
問題もある。
写真を見てもわかるように、12人全員が男だ。
現在ならすぐ女性差別だ、セクハラだと文句をいわれる。
そういうササイな問題はべつにしても、日本でこんなふうに理想的にいくんだろうか。
わたしもどっちかというとガンコで有名な人間だ。
ただし、モンスターペアレントのような不条理なガンコと同列にされちゃ困る。
きちんと話し合えば、常識の範囲内で相手を説得する自信はある。
と、こんなことをぬけぬけと言うから (ガンコ+偏屈) と思われてしまうんだけど。
なにごとにも多勢に流されやすい現在の日本で、たったひとりのガンコが、常識や大人の対応をふりまわすその他大勢を説得できるだろうかと、わたしは暗うつな気持ちになってしまうのである。
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