にがい青春
「ラ・プラタの博物学者」 を書いたW.H.ハドソンは、べつに 「はるかな国 遠い国」 という自伝を書いている。
この自伝は、ハドソンが子供時代をすごした南アメリカの生活を回想したもので、博物誌としてもなかなかおもしろい本である。
これを読んでいて、その中のみじかいエピソードにこころをうばわれた。
まだ南米にも奴隷制度が残っていた時代、白人の大地主の家にやとわれていたハンサムな黒人の若者がいた。
彼はこの家の若奥さんのお気に入りだったけど、あまり奥さんからひいきにされるので、つい彼女は自分に気があるんじゃないかと誤解してしまい、ある日だんなの留守中に奥さんに胸のうちを告白したというのである。
奥さんにしてみれば、この黒人青年が快活でハンサムということで、ただ便利に使っていただけであり、これを自分に対する屈辱と受け取った。
黒人青年は奴隷の分際でと、雇い主のリンチを受け虐殺されてしまうのだが、うーむと考える。
殺された青年への同情や奴隷制度に対する怒りはもちろんあるけど、それよりも自分の若いころにもこんなことはよくあったということについて。
わたしもどこかの女性が親切にしてくれるのを、変に誤解して、ついその気になって、けっきょく打ちのめされたことが何度もある。
このみじかい挿話は、わたしに青春とはほろ苦いものだということをしみじみと思いおこさせる。
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