総タレント
2、3日まえにテレビを観ていたら、NHKBSで南米の密林の奥に住むなんとかいう原住民を取り上げた番組をやっていた。
民放のこの手の番組にはかなりいいかげんな、デッチ上げみたいな番組が多いので、NHKならそういうことはないだろうと、大きな興味をもって観た。
なんでもこの原住民はいまでも男女がまっ裸で暮らしているそうで、まだ想像を絶する原始的な生活をしているらしい。
ナレーションもことさら抑えた口調で、意味ありげに進行する。
知らない人がみたら文化人類学的にもひじょうに貴重な番組であると思ってしまうだろう。
しかしわたしは疑り深いのである。じっと画面のすみずみを凝視する。
ほったて小屋みたいな住居のかたすみにダンボールが積まれているのが見える。
原住民の何人かは腰ミノではなく短パンをはいている。
ダンボールも短パンも先進国の製品であるように思える。
うーむである。
たぶんこの原住民は、ふだんはあまり原住民らしからぬ生活をしていて、先進国のテレビ・クルーが撮影に来ると聞くと、あわてて原住民的生活を演出するのではないか。
女たちは、えっ、またかいとボヤきつつ、いそいでまっ裸になるのであろう。
部落民の全員が、それっと、顔に串を刺したりイレズミを描いたり、建物のあちこちに猿の乾しモノや、いかにも原始的にみえる置物を並べる。
もちろんテレビや音響機器、アンテナなんかは大慌てで隠さなければならない。
携帯電話なんてもってのほかである。
まっ裸の女性が登場するシーンでは、さすがにそのままでは撮影できないというので、ほんのもうしわけみたいな腰ミノを巻いていたけど、それはおそらくテレビ局側が用意したものだろう。
いやはや大変なことだけど、先進国の期待にこたえることが、そして出演料を得ることが、彼らにとって外貨を手にするゆいいつの手段なのではないか。
そう思って想像をたくましゅうしながら観ると、南米の密林の中には一族総タレントの原住民がいるということがわかって、これはホント、ひじょうにおもしろい番組であった。
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