和風は河谷いっぱいに吹く
近所の里山では、さわやかな秋空の下、田んぼにイネが重そうに穂をたれている。
こういう風景を見て、ブログに何を書くかというと、じつは以前から書きたかったことがあるのである。
アメニモ負ケズの詩人・宮沢賢治の理想は、挫折したことのほうが多かったようだけど、その詩 「和風は河谷いっぱいに吹く」 は、数少ない彼の理想主義の凱歌といわれ、わたしのもっとも好きな詩のひとつである。
ここでは農地改革に熱意をこめた彼の努力が、報われたさまがうたわれている。
といっても、これが現実にあったことかどうかは確かじゃないけど。
そんな細末なことは無視しても、今日のような秋空の下でこの詩を口ずさむのは楽しいことである。
長いのでほんの最後の部分だけを紹介するけど、この詩を読むときは末尾を上げて切羽つまったようにうたい終わるのがヨロシイ。
あゝわれわれは曠野のなかに
芦とも見えるまで逞ましくさやぐ稲田のなかに
素朴なむかしの神々のやうに
べんぶしてもべんぶしても足りない
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