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2009年10月 8日 (木)

台風一過

  夜来の台風にひとりはぐれた白い雲が
  気のとほくなるほど澄みに澄んだ
  かぐはしい大気の空をながれてゆく
  太陽の燃えかがやく野の景観に
  それがおほきく落す静かな翳は
  ・・・・・さよなら・・・・・さやうなら・・・・・
  ・・・・・さよなら・・・・・さやうなら・・・・・
  いちいちさう頷く眼差のやうに
  一筋ひかる街道をよこぎり
  あざやかな暗緑の水田の面を移り
  ちひさく動く行人をおひ越して
  しづかにしづかに村落の屋根屋根や
  樹上にかげり
  ・・・・・さよなら・・・・・さやうなら・・・・・
  ・・・・・さよなら・・・・・さやうなら・・・・・
  ずつとこの会釈をつづけながら
  やがて優しくわが視野から遠ざかる

台風が通過したあとのさやわかな光景をうたった詩で、知人たちにショックを与えるといけないから正直に告白するけど、わたしがつくったわけじゃない。
伊東静雄の 「夏の終り」 という詩である。 わたしの好きな詩である。
台風一過の青い空をみて、思わず叫びたくならない詩人がいるだろうか。

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