台風一過
夜来の台風にひとりはぐれた白い雲が
気のとほくなるほど澄みに澄んだ
かぐはしい大気の空をながれてゆく
太陽の燃えかがやく野の景観に
それがおほきく落す静かな翳は
・・・・・さよなら・・・・・さやうなら・・・・・
・・・・・さよなら・・・・・さやうなら・・・・・
いちいちさう頷く眼差のやうに
一筋ひかる街道をよこぎり
あざやかな暗緑の水田の面を移り
ちひさく動く行人をおひ越して
しづかにしづかに村落の屋根屋根や
樹上にかげり
・・・・・さよなら・・・・・さやうなら・・・・・
・・・・・さよなら・・・・・さやうなら・・・・・
ずつとこの会釈をつづけながら
やがて優しくわが視野から遠ざかる
台風が通過したあとのさやわかな光景をうたった詩で、知人たちにショックを与えるといけないから正直に告白するけど、わたしがつくったわけじゃない。
伊東静雄の 「夏の終り」 という詩である。 わたしの好きな詩である。
台風一過の青い空をみて、思わず叫びたくならない詩人がいるだろうか。
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