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2009年11月19日 (木)

イスラムの国

誰でも行ってみたい国というものがあるにちがいない。                
わたしの場合、それはイスラム圏の国らしい。
NHKのテレビ番組で、モロッコのフェズという町を紹介していた。
モロッコはイスラムの国である。
わたしは大きな関心をもって番組を録画した。

録画した番組を最後まで観ていたら、次回は南米チリの乾燥地帯にあるなんとかいう村を紹介するという予告編があった。
モロッコには大きな関心をもったくせに、どういうわけかチリの村についてはあまり興味がわかない。
日本人からするとモロッコもチリも (田舎にかぎれば) 同じ途上国に思えるし、わたしは途上国にばかり行きたがる旅好きなのに、これはどうしてだろう。
やはりイスラムという国にはとくべつの思い入れがあるんじゃなかろうか。

もっともモロッコを途上国といっていいかどうか。
フェズという町は、わたしたちが知っているところとしてはアルジェリアのカスバに似ている。
迷路のように入り組んだ土の民家がびっしりと建て込んでいるところである。
この町の中には、古くからの金属加工や革のなめし職人がいて、古風な人間の営みときびしいイスラムの戒律がまだまだ健在のようである。
しかし番組の中に冷蔵庫が出てくるし、建物の屋上には衛星放送のアンテナが乱立している。
服飾デザイナーをこころざす、肌を露出した娘まで登場するのである。
たしかに高層ビルもエレベーターも車も新幹線もないし、パソコンもケータイも普及していないようだけど、これは質がちがうだけで、そこにあるのは日本の社会にひけをとらない立派な文明のように思える。
ジャングルの中の裸の種族とはわけがちがうのだ。

こうしたことから考えると、たぶん、わたしが見たいのは途上国ではなく、異なる文明というものなのではないか。
めずらしい野性動物を見るためにニュージーランドやマダガスカルに行くのもいいけれど、人間を見るなら、日本とはまったく異質で、やはりあるていど複雑な社会のある国のほうがいい。
イスラムの国はそういうところに思えるのである。

というわけで、わたしはそのうちトルコへ行ってみるつもりである。
貧乏人むきの格安ツアーを見つけたのだ。

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