« 人形劇 | トップページ | ススキ »

2009年11月 4日 (水)

うまいもの

友人が池波正太郎の “うまいもの” に関する本を貸してくれた。
それが3冊もあったから、友人は池波正太郎の熱烈な信奉者であるとみえる。
最近のわたしは女の子に縁がないもんで、ヤケクソで旨いものに執心しているから、なんかの参考になるかとパラパラと目を通してみた。

写真の多い 1冊の冒頭に、神田の 「松栄亭」 という食堂が出てくる。
店の写真を見ると、なんか路地裏にあって、おもてに出前用のスーパーカブが停まっているようなみすぼらしい食堂だった。
昨今のグルメを自称する女の子たちに見向きもされないような店である。
作家はこの店のメニューについて書いている。
ポークソテーとかカレーライスだとか、オムライス、串カツなどが出てくる。
カラパッチョだとかポワレとか、わけのわからない横文字のメニューでないところがなんともいえずいい。
松栄亭の店主のセリフ。
「こんな値段で大丈夫かなんて、お客さんが心配してくださるんですが、これでも幾らかは儲けさせていただいてますし、ま、一家がなんとか食べて暮らしていけますし・・・・・・」

どうやらこの作家の推奨する店というのは、最近はやりの見てくれ派手な、女の子に好かれるような店ではなく、戦前の古い店構え、そして人情を残している店らしい。
たぶん味が絶品というものではないだろうけど、そもそも味なんてものは、食べる本人の意識でいかようにも変わるものだ。
文章がまじめすぎるのがちと気にいらないけど、この本はなかなか含蓄に富んだおもしろい本のようである。

| |

« 人形劇 | トップページ | ススキ »

深読みの読書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: うまいもの:

« 人形劇 | トップページ | ススキ »