« ニヒルな結論 | トップページ | アンコウ »

2009年12月11日 (金)

ヤオトン

272a 272b

テレビを観ていたら、中国の洛陽の近くにある洞窟住居ヤオトン (窰洞というむずかしい漢字を書くので文字化けしなけりゃいいが) を紹介していた。
これは地面を四角く掘りぬき、その垂直面にさらに横穴を掘って、そこを人間の住居にしたものである。
地面の下の洞窟なんて聞くと、日本人にはさぞかしホコリっぽいんだろうなあと思われるかもしれないけど、じつはそれほどでもない。
それほどでもないということをなぜ知っているかというと、じつはわたしは洛陽へ行ってきたことがあるからだ。
ヤオトンにも入ってみたことがあるからだ。
※写真は西安の近くで見たヤオトンとその内部。

よりによって地面の下なんてと考えるむきは (あまりいないだろうけど)、異文化というものへの認識不足だ。
あちらからすれば、日本人が木造の家屋に住んでいると聞けば、火事になったらよく燃えるだろう、ぶっそうなところに住んでいるもんだなと思うだろう。

それはさておき、夏は涼しく冬は暖かいヤオトンは、天然のエコ住宅なのだ。
そういう快適な住居が不愉快なコンクリートの新興アパートにとって代わられたとは思えないから、まだまだ西安や洛陽近辺には、大地にあけた穴の中で幸福に暮らしている人たちがたくさんいるにちがいない。

テレビではヤオトンは埋め立てられて数が減少したなんて言っていたけど、わたしが中国を旅した1995年から2005年にかけては、まだまだ列車の窓からもたくさんのヤオトンが見られた。
ヤオトンのある村では、いたるところにトウモロコシの種子が広げられ、種子をとったあとの茎や殻が山のように積み上げられていた。
そしてヤギやニワトリや、近所のガキどもが放し飼いで元気に走りまわっていた。
テレビで紹介されていたそのまんまの、どこか郷愁をさそわれる景色である。
あ、また行ってみたいなと、衝動がむらむらだけど、この不景気でわたしのサイフもだいぶ軽くなってるし、郵便貯金の残高もかんばしくないからなあ。

| |

« ニヒルな結論 | トップページ | アンコウ »

旅から旅へ」カテゴリの記事

コメント

ブログ「漢字の音符」を編集している石沢誠司と申します。このたび、音符「囱ソウ」に
貴ブログのヤオトンの写真を引用させていただきました。ご了承いただきますようお願いいたします。掲載URLは、
https://blog.goo.ne.jp/ishiseiji/e/088c7ba4f0d4a767b4043cb932720fec
です。掲載写真は少しトリミングさせていただきました。

投稿: 石沢誠司 | 2024年8月 3日 (土) 15時42分

かまいませんよ。そちらのブログもなかなか興味をひかれますね。
わたしはいまブログで中国紀行を(不定期に)連載しているので、そのうちこちらがあなたの記事を引用させてもらうことがあるかも知れません。

投稿: 酔いどれ李白 | 2024年8月 3日 (土) 17時05分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ヤオトン:

« ニヒルな結論 | トップページ | アンコウ »