ひとり旅
わたしのまわりには、旅に出ても酒さえあれば満足といった手合いが多い。
そういう人間にはひとり旅の良さなんてなかなかわかってもらえないものだ。
近いうちにトルコへ行くといったら、誰といっしょに行くのとみんな疑惑のまなざしである。
彼らにはひとりぼっちの旅というものがぜんぜん理解できないのだ。
そういう連中を納得させるには、とりあえずカノジョと一緒さといっておくにかぎる。
なるほど。で、相手はどこの人なのと、またかまびすしい。
わたしはひとり旅が好きである。
大勢で行く旅もきらいじゃないけど、どっちかというとひとりのほうが多い。
日本とは異なる生活風俗の外国の街を、ひとりでぼんやりぶらついているときなど、こころの底から喜びを感じてしまう。
手におえない変人だなというのはわたしのまわりだけで、もっと広い世界を基準にすれば、ひとり旅を愛する人間はきっと少なくないはずである。
女房の束縛からのがれたいという倦怠期の熟年でなくても、だ。
そういうわけで、まもなくのトルコ旅行にわたしはたったひとりで出かけるのだ。
旅先のホテルのバーでひとり酒を呑み、ひとりで枕をかかえて眠るのだ。
まわりの連中がこれをカノジョの存在をごまかすための詭弁ととるか、それとも・・・・・・いや、やっぱりあいつは女と一緒に行くにちがいないと思うに決まっている。
ひとり旅がどれほど優雅なものであるか、彼らにはぜったいにわからないのだ。
カノジョなんかにまとわりつかれては、せっかくのイスラム美人もおちおち鑑賞できないではないか。
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