ネクタイ
昨日は免許証の更新に行ってきた。
行くまえに知り合いからメールがきて、ちゃんとネクタイをしめて行きなさいとのこと。
わたしは冠婚葬祭以外にネクタイなんかしめたことのない人間だ。
なんの、と口ごたえをしようと思ったが、このへんは知り合いのほうが常識人で、わたしの常識は世間の非常識である。
それでネクタイをしめて出かけた。
ネクタイには、しょっちゅうしめている分にはそうでもないけど、たまにしめるとぜんぜんサマにならないという法則がある。 ヤレヤレ。
8時半から受け付けだというからぴったりその時間に行ってみたら、すでに3、400人ぐらいが列をつくっていた。
その中にネクタイなんてひとりもいない。
ウソだろう。人間がこれだけ集まってひとりもいないなんて。
わたしもそう思ったので、首をのばして必死に探してみたけど、いない、いない。
どっちを見ても、そうさな、場外馬券場の群衆みたいなフランク (といっていいのかどうか) な人ばかりだ。
そんな中には上下だらしないジャージーのトレパンのおっさんも混じっていて、こちらのほうがわたしよりずっと雰囲気に馴染んでいた。
めずらしく常識人であろうとしたわたしのもくろみは、現実のまえに、いや試験場の行列のまえに無残に砕け散って、かえってわたしの非常識がめだってしまったというわけだ。
くそ、つぎの更新を見ておれ。
とぼやきつつ、うらうらとした春の陽の下をぶらぶらと帰ってきた。
わたしの家は府中の試験場から徒歩で40分ぐらいなのである。
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