Driver for Vera
気になっている映画がある。
今年の1月にトルコに行ったとき、モスクワまでの飛行機の中で上映されていた 「Driver for Vera」 というロシア映画である。
ロシア語なのに英語のタイトルがついているのは、搭乗しているかもしれない英語圏の人々のためらしいけど、セリフはすべてロシア語である。
タイトルを直訳すると 「ヴェラの運転手」 ということで、ヴェラというのはヒロインの名前だ。
わたしはロシア語なんてぜんぜんわからないけど、意味不明な結末をのぞけば、だいたい内容が理解できた。
物語の舞台は黒海沿岸と思われる地方都市で、まずこの風光明媚な町の風景がすばらしい。
この町に駐留する軍の若い兵士が、ちょいと娘を迎えにいってくれと上司の軍幹部に頼まれる。
彼はこの幹部の専属運転手なのである。
娘の顔を知らなかったのでちょっとソゴがあったものの、彼は首尾よく娘を車に乗せて父親のところへ連れてくる。
この娘は片足が不具で、そのせいかひじょうに屈折していじわるな性格をもっている。
しかもどこかの男の子供を宿しているのである。
娘を演じる女優は、鼻っばしらのつよいフランス女優みたいでなかなか魅力的。
若い兵士は彼女の専属運転手のようなかたちになって、通院する彼女の送迎を続けるのだが、そのうちしだいにこの娘を好きになってしまう。
このあたり、すなおで好感のもてる兵士と、なかなかすなおにならない娘の関係がうまく描かれていておもしろい。
機内のモニターなので不鮮明だけど、下の写真は兵士と娘が海辺にドライブするシーン。
ここで兵士が娘にキスしようとすると、娘は兵士の耳にかみついて抵抗するという、ちょっとショックな場面に続くのである。
映画の2/3まではこんな具合で、兵士と娘のかっとうが描かれているのだが、ラスト近くになると、娘と軍幹部のその父親が、屋敷に押し入ってきた無法者たち(その中にはそれまで父親と親しそうに話していた男も含まれる)に殺されてしまう。
このあたりの事情は、言葉がわからないとさっぱり意味もわからない。
最後がどうもお手軽で気にいらないけど、それ以外は全体の作りも最近のアメリカ映画みたいにせせこましいものではないし、風景は美しいし、船上のパーティなど牧歌的なシーンもあって、わたしはいい映画だ、もういちど観たいなと思った。
飛行機の機内で上映される映画は、封切まえの最新作である場合が多い。
気になるので調べてみたけど、日本では公開どころか輸入される予定もないみたいで、映画のデータベースにひっかからない。
米国のデータベースでもダメ。
配給会社さん、オネガイ。 「Driver for Vera」 だかんね。 おぼえといてね。
※この記事は映画のタイトルに誤りがあったため、あとで訂正しました。 正しいタイトルで検索すると、米国の映画データベースに記事が見つかります。
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コメント
初めまして。
ロシア映画「a drive for vera」の検索をしていて、こちらにたどり着きました。
日本語でこの作品を記事にされているのは大沢さんだけのようですね。
今夜観て、今週中にはブログにアップする予定なので、私が日本人で2人目になるのかな?
ちなみに、IMDbに情報はのっていますよ。
話変わりますが、4月24日に書かれたトルコのブログに関しての記事ですが、
以前検索をしていて偶然辿りついたことがあります。
とっても不愉快なブログだったことを覚えています。
私も文章から判断して、自作自演だと思います。
この方、トルコにしかいったことないんじゃないのかな?すごく視野が狭い気がします。
確かに、反論する方法は思いつかないですね。
この方のサイトを参考にされている方はどうせいないでしょう。きっと寂しくて自作自演されてるんですよ。
投稿: Koo | 2010年8月10日 (火) 17時25分
はじめましてKooさん。
「大沢村便り」というブログを書いている酔いどれ李白(ハンドルネーム)と申します。
日本に輸入されていない、公開もされてない映画をどうやって観るのか、ちょっと興味がありますが、7月7日のこのブログの記事「アエロフロートの機内誌」についたコメントも参考にしてください。
投稿: 酔いどれ李白 | 2010年8月10日 (火) 20時35分