漢字の使い方
ふつうなら漢字で書くべきところをカタカナ表記にしたり、こまかいところにこだわって意識的に別の漢字を使ったりする例が、わたしの知り合いの中に目立つ。
これは文学的にちゃんと確立された用法だから、まちがいなく使いさえすればそれなりおもしろい効果を生むものだけど、まちがって使うとどこかおかしいということになってしまう。
「気の毒」と書くところを「気のドク」と書くのは、毒という字の凶悪さをうすめるためのものだし、「生き物」を「生きもの」と書くのは生きているものに対するやさしい配慮である。
このへんはまだしも、「御苦労さま」を「ゴクロウサマ」、「大変ですね」を「タイヘンですね」と書くのは、相手を揶揄しようという場合が多いので、注意をしなければならない。
こちらにそんな気はなくても、書かれた相手はいい気持ちがしないはずだ。
知り合いの書いた文章に「(民主党の政治を)国民は観ています!」とあった。
この使い方は、ひょっとするとわたしの影響かもしれないけど、「見る」と「観る」ではイメージが異なるということを本人はわかってないようだ。
政治をちゃんとミテイルというなら、この場合は「見る」を使うべきだろうし、もうすこしいじわるく書きたければ「視る」なんてのもいい。
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