シッコ
観たいと思って観ていなかったマイケル・ムーア監督の 「シッコ」 がテレビで放映された。
一部の人たちが理想とする自由主義大国アメリカの、医療や保険業界の実態にせまるドキュメントだけど、いやはやひどいもんだ。
米国で拝金主義に汚染されているのは金融・証券会社ばかりじゃなかったようだ。
あの国では営利を目的とする私企業ばかりではなく、人の命を救うべき医療機関まで、すべて金、金、金だ。
だから保険に入ってない (入れない) 貧乏人の患者を、病院が路上にほっぽり出すという乱暴な処置も行われる。
この映画はきっと誇張されているんだと思わなけりゃ救いがない。
おりしもオバマ大統領の医療保険改革が始まっている。
米国の国民全員に日本みたいな国民皆保険を義務づけようというものらしい。
けっこうなことじゃないかと思っていたら、米国にはこの法律に反対する人が国民の半分ぐらいはいるんだそうだ。
反対する人の意見は、自由の国アメリカでは健康は自分で責任をもつべきだ、医療保険は自己責任で加入すべきだということだそうだ。
国家が末端の国民の世話までするようになったら、それは彼らの大キライな社会主義だという気分があるらしい。
そんな高尚?な意見を、あまり利口ではない米国民がみんな共有するはずはないから、反対する人たちってのは医師会や保険業界の、金にあかせた反対運動に乗せられちゃった人なんだろう。
「シッコ」 を観ていて思ったのは、人間というのはどこかで管理をしなければ、強者が自分の際限のない欲望を満たすために、行きつくところまで行ってしまう動物だということ。
この映画を観れば、米国はわるい意味で自由主義が極端にまで到達してしまった国であることがよくわかる。
管理を徹底すれば崩壊した社会主義国のようになってしまうけど、それを微妙な線でコントロールするのが政治というものじゃなかろうか。
あー、米国にだけは住みたくねえ。
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