忘れられた女神たち
「紳士は金髪がお好き」 という映画がテレビで放映された。
古い映画なのでいちども観たことがなかったけど、巨匠ハワード・ホークスの映画だからたぶん傑作だろうと思われる。
録画して、これから観るところだ。
この映画の原作を書いたのはアニタ・ルースという女性作家である (添付したのはネットで見つけたルースの写真)。
古い作家なので現代の日本ではほとんど知られてないけど、わたしは川本三郎さんの 「忘れられた女神たち」 という本で彼女のことを知っていた。
この本の中には戦前から戦中、そして戦後まもないころに活躍した、俳優、作家、画家、デザイナーなど20人の女性が取り上げられている。
著者の川本三郎さんは、わたしがよく読むSAPIOという雑誌で、映画と本の批評を連載しているから、ぜんぜん馴染みがないわけじゃないけど、「女神たち」 については、原著があって、その翻訳にいくらか新しい知識やエピソードを加えたものかなという疑問もないじゃなかった。
そう思えるほど、この本に取り上げられた女性たちは、日本人がとりあげるにはめずらしいラインナップである。
この本を読むまえからわたしが知っていた女性は、かろうじて名前を知っていた人を含めても5、6人しかいない。
具体的に全員の名前を挙げると、ヘディ・ラマー、デューナ・バーンズ、バーバラ・ハットン、イデス・ヘッド、ドロシー・ダンドリッジ、マリオン・ディヴィス、エルシー・ド・ウルフ、タルラ・バンクヘッド、キャサリン・アン・ポーター、ジプシー・ローズ・リー、レナ・ホーン、リビイ・ホルマン、メイベル・ノーマンド、マーガレット・バーク・ホワイト、キャロル・ロンバード、アニタ・ルース、ドロシー・パーカー、グロリア・ヴァンダービルト、ドロシー・ブレット、ジーン・リイスである。
内容はいちおう彼女らの伝記であるが、伝説の部分も多いんじゃないかと思えてしまうのは、それぞれがあまりにも数奇な生涯をおくった人ばかりだからだろう。
彼女たちはいずれもその時代を、パイオニアとして、自立した女性として、あるいは天真爛漫で自由奔放な女性として生きた。
ただし、このうちに自殺や不遇な晩年を送った人が7、8人はいる。
確実に幸せな晩年をまっとうしたといえる人は6人ぐらいしかいないのである。
わたしも小説や映画によって、この世の中には幸福なもの、不幸なもの、平凡なもの、奇妙なものなど、さまざまな人生があることを知っているつもりだけど、この女性たちの人生は創作ではなくすべて本物であるところがスゴイ。
人生についてしみじみと考えるのに好適な本なので、わたしはこれまでにこの本を2冊購入した。
1冊は自分が読むため、もう1冊は知り合いの文学少女に読ませるためである。
| 固定リンク | 0
「深読みの読書」カテゴリの記事
- 昨日のNHK(2023.02.24)
- 沖縄/波照間島(2022.08.22)
- 沖縄/船浮のみぎわ(2022.08.06)
- 沖縄/自然とともに(2022.07.19)
- 沖縄/御座岳を越えて(2022.07.07)
コメント