要約すると
わたしは恐怖なしに老年を待っている。
完全なる一生は青年、壮年時代とともに、老年時代も含んでいるからである。
朝の美しさや真昼の輝きもよかろう。しかし夕べの静謐さをしめだすためにカーテンをおろし、灯りをつける人ははなはだ愚かな人であろう。
老年には老年の楽しみがある。
それは異なったものであっても、青年の愉しさに劣るものではない。
愚者の老年は愚かであろう。しかし若いときも愚かだったのである。
老人がもはやアルプスに登ることも、きれいな女をベットにころがすこともできないのは事実だけど、そのかわり失恋の痛みや嫉妬の苦しみから解放されている。
老年には積極的な償いもある。
逆説的に聞こえるかもしれないが、老年のほうが時間の余裕がある。
若いときには判断を歪める個人的な偏見なしに、美術や文学を享受することもできる。
エラそうな言葉をならべたが、これはわたしの発言ではなく、サマセット・モームの「要約すると=THE SUMMING UP」の中からひろった文章である。
土曜日の夜は風呂に入って本を読む。
長風呂でじっくり書物を読み、こんな言葉をひろい、さまざまなことを考え、自己をみつめなおしていると、うん、血圧を下げる効果もあるものだ。
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