クリスティナ・ドッドウェル
クリスティナ・ドッドウェルという女性がいる。
たったひとりで世界各地、それもアフリカだとかパプアニューギニア、中国の新疆ウイグル自治区、トルコの東部など、辺境といっていいところばかりを歩いて、いくつかの紀行記を書いている人である。
彼女はまたカヌーの愛好家で、旅に出るのにわざわざ折り畳み式のカヌーを持参して、危険も規制もなんのその、行く先々で川や湖にこぎだしている。
ウマやロバにも乗るし、家にいるときはウマに蹄鉄を打ったこともあるというから、閨秀というより、なんか西部劇のカウボーイを想像させるような人である。
そんな彼女に興味を持ったのは、彼女の「女ひとり中国辺境の旅」という紀行記を読んだからだ。
この本の中で彼女は新疆のウルムチ、カシュガル、トルファン、敦煌、西安など、わたしも行ったことのある中国の奥地をひとりで旅している。
欧米の探究心に富んだ女性らしく、バックパックを背負い、安宿を求め、二等列車に乗り、ヒッチハイクで移動もためらわないといった、わたしなんぞとはケタ違いのハードな旅だ。
わたしもひとり旅ですこしは冒険をしたつもりでいるけど、彼女の紀行記を読むと、男性でもこうはいくまいと思われるような危険な場所へでも平気で入りこんでいることにおどろく。
すげえなあと感心して経歴を調べているうち、わたしは彼女を見たことがあるのに気がついた。
もう20年以上まえのことになるけど、NHKが英国BBC制作のテレビ番組を放映したことがある。
これは5人の小説家、詩人らが世界各地を旅するシリーズで、作家の独白とともに旅が進行するなかなかしぶい紀行番組だった。
その中の1編が、ニューギニアの山中を流れる激流を、女性作家が他のメンバーとともにゴムボートで下るというスリルいっぱいのもので、このとき出演していたのがクリスティナ・ドッドウェルだったらしい。
彼女がカヌーに凝りだしたのはこのとき以来だという。
というわけで、いま彼女の中国の旅をなぞっているところだ。
それを整理したら、またこのブログに彼女のことを書こうと思っている。
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