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2010年5月 1日 (土)

ナショナル・ジオグラフィック

街へ出て古本屋をのぞいたら、ナショナル・ジオグラフィック(以後NG誌)のバック・ナンバーが50冊ぐらい並んでいた。
といってもわからない人がいるかもしれないから説明しておくけど、NG誌というのは旅行のガイドブックである。
馬鹿いってんじゃねえよという人がいるかもしれない。
世間ではこの本を、博物学や人文地理が専門の科学誌であると思っている人が多いようだ。
それも間違いではないけど、そういう一辺倒な見方は事実をゆがめてしまう。

わたしが50冊の中から引っこ抜いてきたのは1998年の6月号で、巻頭の特集が「シベリア横断鉄道」、以下に「スコットランド・オークニー諸島」、「ネパールの蜂蜜採り」、「米国本土最大の自然公園」なんて記事がならぶ。
すべてドキュメントで、小説なんてモンはひとつもない。

わたしはロシアに行きたくてたまらず、いろいろ資料を集めたり、研究をしたりしているところだから、ちょっと内容の古いのが欠点だけど、「シベリア鉄道」の記事はガイドブックになるのである。
「オークニー諸島」というのは英国の北のはしにある、時間が静止したような過疎の島で、古い建物のたたずまい、豊富な遺跡、豊かな自然とゆるやかな生活、そのくせ地元の魚介類を使ったレストランまであるというから、旅好きのわたしには思わずむずむずするようなところだ。
「ネパールの蜂蜜採り」という記事は、ネパールの山中で蜂蜜を採って生計を立てている少数民族の話である。
高い木の上にある蜂の巣を、顔だけを手製のネットで被い、そこいら中ハチに刺されながら採集する人たちがいるという厳粛なる事実は、たちまちわたしをネパールに行きたいと思わせてしまう。
「米国本土の自然公園」にはあまり食指が動かないけど、NG誌は写真のすばらしさに定評があるから、机のまえで旅の空想にふけるのにいい。

この号にはほかにも「虹の鳥ケツアール」、「爆走ストックカー・レース」、「伝説の巨大イカ」という記事がある。
「ケツアール」は中米の密林に棲む美しい鳥の話であるから、バード・ウォッチャーのわたしは、とうぜんそんな密林にも行ってみたくなる。
「ストックカー」は映画で観れば十分だけど、こういうものを米国まで、わざわざ金を払って見に行きたいと思う人も広い世間にはいるのだろう。
「巨大イカ」を見るには深海の500メートルぐらいまで潜らなければならないが、NG誌によるとこれが生息するニュージーランドの海岸には、たまにマッコウクジラが乗り上げるそうだから、これはどうしたって見に行きたくなってしまう。

そんなこんなの理由を並べてみたけれど、NG誌が旅行ガイドであることはかくも明白な事実なのである。

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