グーグル
病院というところへ行ってみた。
べつに行きたくて行ったわけじゃないけど、人間ならたいてい、生涯に2度か3度は行かねばならない理由ができるものだ。
最近の病院は待たされることが多いというから、あらかじめ 「文藝春秋」 を買っていった。
週刊のほうの文春はたまに買うけど、月刊のほうはめったに買ったことがない。
これは、なにしろぶ厚いから読みごたえがある。
病院で半日待たされても退屈しないくらいだ。
内容は週刊とあまり変わらないけど、本が厚いだけ記事も長い。
値段は倍もちがうけど、読みごたえはゆうに3、4倍はあるから、こっちのほうがお買い得である。
もちろん、おなじ政治批判でもこっちのほうが詳細だ。
目次には、ご多分にもれず鳩山政権をボロくそにいう記事、ANAの社長からみたJAL再建のケシカラン、解任された富士通社長のなんじゃこれは、堺屋太一の大阪万博と上海万博の比較、王貞治が初めて語る国籍や先輩の長嶋茂雄についてなど、刺激的あるいはおもしろそうなタイトルがずらりと並ぶ。
そんな中に 「グーグル秘録 『メディアの破壊者』」 という記事があった。
パソコンやインターネットに関心のない人には理解しにくいが、これはネット上でアメリカン・ドリームを実現した 「グーグル」 と、その台頭によって凋落一途の保守的な広告業界、メディアなどについての記事である。
米国のIT企業というと、ネクタイもしめたことがないような若輩によって創立された会社が多いけど、グーグルもそのひとつで、若い研究者が自分たちのアイディアを、まわりに遠慮も会釈もなしに実現化しちゃったような会社である。
こういう企業は、金儲けよりも自分たちの理念を優先させているようなところがあって、ひとり勝ちの大儲けなんて結果も、たまたまその理念に付随してきたオマケみたいなところがある。
音楽や映画、最近では書籍の無料公開まで始めようというグーグルの姿勢をみていると、彼らのコワイもの知らずはいまでも続いているらしい。
年令からするとぽちぽち保守派の仲間入りするわたしなんぞからすれば、そこまでやって大丈夫かいといいたくなってしまうけど、たぶん彼らにとって失敗は、テレビゲームをリセットするようなものだろう。
ああ、やっちゃった、やり直しだってなモン。
こんなグーグルの未来はまだ見極めがつかないけど、病院の待合室で「文藝春秋」を読んでいて、わたしは自分の名前をよばれたのにぜんぜん気がつかなかった。
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