リー・クアンユーさん
今朝の朝日新聞に、シンガポールの初代首相だったリー・クアンユーさんの談話が載っていた。
内容はアジア情勢の現在と未来、台頭する中国の影響や日本の安全保障などで、沖縄の普天間問題にもふれている。
将来のASEANは中国のけん引力によって、半島部と島嶼部に分かれるだろうなんていう興味深い推察もある。
東南アジアの小国として、シンガポールも中国の脅威を感じないわけにはいかないから、日本ももっと現実的になって米国と連携し、アジアの安定に貢献してほしいとの願望がにじむような記事である。
カタカナで表記されることが多いので気がつかない人もいるかもしれないけど、リー・クアンユーさんは李光耀と書いて、本来は中国の、それもきっすいの中国人とされる客家 (はっか) の出身である。
名前をカタカナで表記するのは、華僑やマレー人が混在するシンガポールの置かれた政治状況に配慮したもので、支配者は中国人ではないんですよということを、ことさら強調するためのものらしい。
クアンユーさんは自分の名前を英語表記されることを望み、それを日本語に翻訳するとカタカナ表記になるのである。
クアンユーさんの出自である客家というのは、ひじょうに頑固な民族らしく、もともと中国人でありながら中国とは距離をおき、シンガポールもよそに干渉されない独立国という姿勢をつらぬいている。
同じようなことは台湾のもと総裁である李登輝さんにもいえる。
彼も客家だったけど、本家の中国と仲がいいわけではなかった。
ややこしいけど、その本家の中国で改革開放を推進した鄧小平さんも客家だった。
同じ民族なら手をむすぶかというと、そうならないのがおもしろいところだ。
客家という民族について知ると、中国の多様性がまざまざと見えてくるのである。
中国の脅威論をいう人もいるけど、わたしは中国のこんな多様性からして、将来的にもこの国がひとつにまとまって他国の脅威になるかどうか、あまり心配していないのである。
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