荒川修作サン
新聞に荒川修作って人の訃報。
わたしの親戚でも知り合いでもないけど、どこかで聞いたような名前。
ハテ、誰だっけ?
よく読んでみたら、ウチの近所にある 「天命反転住宅」 というけったいな住宅の設計者だそうだ。
わたしはこの住宅を建設開始のころから知っていて、その奇想天外な様式に度肝を抜かれた人間のひとりである。
写真をみればわかるけど、カラフルな立方体や球体のブロックを積み重ねてあって、球体の部屋は室内まで外見どおりである。壁や天井は丸く湾曲している。
これでは地球上ではヤモリぐらいしか住めそうにない。
反面、宇宙空間や月世界ならこういう建物があってもおかしくない。
修作サンは未来をみすえた建物を作ったのだろうか。
まあ、うちの近所には航空宇宙技術研究所や天文台があるから、無理してこじつければそう考えられなくもないけど。
あるいは、これも芸術というのだろうか。
芸術作品として公園や美術館にでも置くならわかるけど、天命住宅はうちの近所ではちゃんと分譲住宅として売り出されたようだ。
もちろんぜんぜん売れてない。
そんな建物をほんとに作ってしまう建設会社もエライ。
芸術家ならたいてい無条件で尊敬してしまうわたしだけど、もちろん作品の好きキライはある。
ただでさえ神経をさかなでするような絵画や映画が氾濫している昨今、カラフルで住めない住宅なんて、どうもわたしには好きになれそうもない。
芸術にはおよそ実用向きではないものもあるけど、ヨーロッパあたりには実用的で、しかも美しい建物や家具がたくさんある。
荒川修作サンの最後の仕事は 「死なないための葬送」 というもの。
意味がわからないけど、その仕事の最中に死んじまっては、やはり何がなんだかわからない。
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