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2010年7月 1日 (木)

シャガールと六郎さん

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わたしの持ってる画集の中では、シャガールは幻想の絵画なんてものに分類されている。
べつに異論があるわけじゃない。
いま東京芸大の大学美術館でシャガール展が開かれている。
だからわたしが出かけるかっていうと、なかなかそうはいかないのだ。
べつにシャガールがキライといわけじゃないけど、どうもわたしにはその絵が、理屈で理解できても感覚では理解しにくいところがあるのである。

添付した絵は2枚の絵がひとつに合成してあるけど、右側がシャガール、左側は日本の谷内六郎さんの絵である。
シャガールのほうは 「私と村」 という絵で、彼の生まれ育ったロシアの村の思い出を描いたものだという。
そういわれてよく見ると、ウシの乳しぼりやロシアの村の生活らしいものが描かれている。
しかし、わたしはロシアの村を知らないのである。
判じ物みたいに、いちいち説明をされないと絵の意味がわからないのだ。

シャガールの絵を観るたびに、わたしは谷内六郎さんの絵を思い出してしまう。
谷内さんの絵は幻想の絵画というものじゃないけど、やはり幼いころのなつかしい記憶にもとずく絵がひじょうに多い。
あちらは国際的な画家で、こちらは (どちらかといえば) 日本のマイナーな画家だけど、描かれているものは谷内さんの絵のほうがはるかにわかりやすい。
谷内六郎さんが描く、なかば幻想をまじえた日本のなつかしい風景は、わたしが子供のころに見たり体験したりしたものがほとんどである。
シャガールの絵を観ておもしろいと思うことはあっても、うける感動については谷内さんの絵のほうがはるかに大きい。
もういちど繰り返すけど、べつにシャガールがキライといわけじゃない。
しかし彼の絵を見ると、わたしはいつも谷内六郎さんの絵を思い出してしまうのである。

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