宮武外骨
昨日、今日と、夕刊に宮武外骨の記事。
読書家ならいざ知らず、世間にはあまり知られてない人だ。
さいわいなことに、わたしの読んだ紀田順一郎さんの 「古書街を歩く」 という本に、この人についてかなり詳しいことが書かれていた。
新聞では外骨=ガイコツとルビがふってあったけど、紀田さんの本ではこれはトホネ(トボネ)と読むと説明されている。
読み方なんかどっちでもいいけど (漢字は表意文字なのだ)、この人は明治、大正時代に、ときの政府を強烈に揶揄するような出版物を立て続けに発行した反骨人として知られている。
正真正銘の変人奇人に属する人で、どこかわたしに似ているんじゃないかと思うようなエピソードがたくさんある。
まだ天皇制だった時代に政府や天皇をからかうような新聞を作り、入獄すること4回、罰金や発禁なんか数知れずで、刑務所に入れられると入獄祝賀会を開き、自分の発行している新聞に 「ただいま入獄中」 なんて刷り込んでいたという。
刑務所で印刷工場の校正係をやらされると、ついでに内緒で獄中新聞を作っていたというから、どうにもこりない人である。
わがままで、人に頭を押さえられるのが大キライ。
風刺やユーモア、パロディをもって権力にはむかうのが大好き。
夕刊には書いてないけど、刑務所ではなにをしてましたかと他人に訊かれると、せんずりばかりこいておりましたと平然と答えるほど傍若無人。
絶倫家で、70になっても女性と接するのが可能なくらい元気な人だったそうで、そんな自分の性癖まであけすけに告白し、そのせいかどうか、猥褻物の研究家としても有名な人だそうだ。
こんなふざけたことばかりではなく、関東大震災では朝鮮人虐殺についてかなり早い時期に批判的なことを書いているから、世相を正確に観察することのできる人であったらしい。
夕刊には反骨精神ばかりのきれいごとが強調されていたけど、紀田順一郎さんの本にはもっとおもしろいエピソードがたくさんある。
えっ、どこがおまえに似てるのかって?
ほれ、あそこ。 似てるでしょ。 あそこ。
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