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2010年9月 1日 (水)

誓いの休暇

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ブログを通じてある映画ファンとやりとりがあり、それがきっかけで 「誓いの休暇=BALLAD OF A SOLDIER」 という古いロシア映画を観ることになった。
合法かどうかは知らないけど、この映画は YouTube 上にアップされているので、誰でも観ることができるのである。
ただし困ったこともある。
YouTube上のこうした映画は日本人専用に配信されているわけではないから、英語圏以外の国の映画にはたいてい英語の字幕がついている。
わたしは英語の劣等生だから、そんなもの見せられたってわからない。
「誓いの休暇」 には、英語字幕さえついてなかった!
セリフが吹き替えてあるみたいだけど、どっちにしたってわからないのは同じなので、ここは画面をにらみこみ、想像力を駆使して理解するしかない。
さいわいおおざっぱなストーリーはわかっているのである。

この映画は、6日間の休暇をもらって母親のもとへ帰省する若い兵士が、人がよすぎて戦場で片足を失った兵士をその妻のところまで送ったり、赤の他人への荷物の配達を頼まれたりと、いろいろな事件にまきこまれ、ようやく母親のところへたどり着いたときには、もう帰営する時刻が迫っていたという、まあ、滑稽というかカワイソというか、オブラートに戦争否定のメッセージをこめたのどやかな映画である。
残酷なシーンを並べたり、声高に叫ぶばかりが反戦映画じゃあない。 わたしはこういうユーモアのある映画が好きである。

映画の冒頭に、田舎で息子の帰りを待ちわびる母親が登場する。
母親がたちつくす平野の彼方まで、ゆるやかにカーブした道が続き、道が消えるあたりにぽつんと1本の木が立っている。
このあたり、モノクロ映画だけど、黄金色に実った麦畑の続く、いかにもロシア風の田園風景が色彩ゆたかに想像できてしまう。

これは一種のロードムービーなので、随所にあらわれるロシアの風物がたまらなく美しい。
わたしはロシアという国にあこがれているので、とくにそう思うのかもしれないけど、兵士が乗り継いでゆく古めかしいSLが、もくもくと煙をはきながら白樺の原野を抜け、鉄橋を渡り、ゆるやかにうねる平原を越えていくさまからは、かぎりない旅情を感じてしまう。
兵士は貨物列車の中で若い娘と知り合い、ほのかな恋心をいだき、また途中で別れるのだけど、このあたりの抒情も、初恋 (わたしにだってあったのだ) のころを連想させて素敵である。
若い娘が列車の中で、自分のひざっ小僧をあわててスカートでかくすなんて、いまどきの映画じゃなかなか観られないシーンで、思わずどきどきしちゃうよな。
ひさしぶりにいい映画を観たなっていう気がする。

※添付した写真は、わたしが中国大陸を列車でひとり旅をしているときに見た夕焼けだけど、同じようなカットがこの映画にも出てくる。

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