中国で商売をするには
今日の朝刊から 「向龍時代」 というシリーズが始まって、第1回目の今日は中国で働く日本人についてあれやこれや。
取り上げられた人のおおかたが日本に見切りをつけ、新天地でそれなり生きがいをみつけた人だけど、中には四苦八苦している人もいる。
Nさんという人は上海でコーヒー豆の宅配を始めたものの、それまで使っていた現地スタッフにそっくり同じ商売を始められたり、顧客情報を盗まれたりでさんざんだそうだ。
だから中国人は汚いというべきか、日本人の考えがあまいというべきか。
邱永漢さんの本にこんなエピソードが書かれていた。
日中戦争のまえ、大陸で酒屋を始めた日本人の店のすぐとなりに、中国人が同じ酒屋を開いた。
日本人は当然利益を上乗せした値段をつけるのに、向こうは原価で売る。
原価で売ってどうやって食べていくのかと観察してみると、中国人の店では酒を梱包してきた木箱や、クッションに使われているワラを売って食いつないでいた。
これでは勝負にならない。
ヤケになった日本人が出血サービスなんかやって店をつぶしたあと、中国人の店ではそれまで日本人が売っていたと同じ値段で品物を売り始めた。
これは中国人が商売についてじつにシビアな考えをもっていることの証明である。
非合法な手段などを使わないかぎり、商売というものは相手を出し抜いたほうが勝ちなのである。
このブログの09年2月7日の記事に書いたことがあるけど、中国の上海に龍門賓館というホテルがある。
わたしがはじめて泊まった1994年には、このホテルは駅のすぐとなりという地の利を生かして、外国人向けの5つか4つ星の高級ホテルだった。
ところがその後、このホテルのすぐとなり、それも駅よりに新しいホテルが出来てしまった。
しかも大きさも形もそっくりというイヤラシサ。
もとからあった龍門賓館はたちまちさびれて、つまらない下級ホテルの仲間入りをしてしまった。
それでも中国人は泣き言をいわない。
やられたほうがわるいという考えが徹底しているのである。
中国で商売しようという者はそういう点をよく理解しておかなくちゃいけない。
逆にいえば、中国で商売しようという日本人は、管理システムや流通販路などの合理化を徹底して、誰にも真似できる部分はがっちり防御を固めてからいったほうがよい。
牛丼の吉野家は中国のあちこちで、まあまあ成功しているみたいだけど、牛丼なんかちょっと勉強すれば誰にでも作れる。
にもかかわらず、中国人の誰かが牛丼屋を始めて吉野家の牙城をおびやかすというわけにはいかないだろう。
そのへんをようく研究してみることである。
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