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2010年10月13日 (水)

2001:A SPACE ODYSSEY

2001a

「2001年宇宙の旅」については、わたしは市販されているDVDも持っているし、アナログ時代にテレビ放映されたものを録画して、DVDに焼いたものも持っている。
監督のスタンリー・キューブリックは、完成したあとの映画にはあまり興味がなかったようで、これだけの名作にもかかわらず、VHSビデオになったのもDVDになったのも、それらが販売されたもっとも初期の段階だった。
VHSビデオなんか、アダルトとこの映画のおかげで普及が早まったと、わたしは確信しているくらいだ。
いまこの映画は廉価版になって、ひと山いくらで売られている。
うれしいようなバカバカしいような複雑な気分である。

昨夜はデジタルになって最初の放映だった。
どうするかっていうと、また録画したから、またDVDに焼くんじゃないか。
そんなに同じ映画を集めてどうするかっていわれるとウーンだけど、とにかくわたしにとって、「2001」は、かけ値なしに生涯最高の映画なのである。
メカに凝ったCG多用のSF映画が氾濫する現代においては、べつにどうってことのない映画じゃないかと思う人がいるかもしれない。
しかし初公開時にシネラマで観たわたしの衝撃は、とてつもなく大きかった。

熱が入りすぎて、友人に観るよう、いくらか脅迫的に迫ったことがある。
友人はずるいやつで、奥さんを代わりに観に行かせ、自分はそのあいだパチンコをしていたらしい。
あとで彼女にどんな映画だったいと聞いたら、ぜんぜん意味がわからなかったと答えたそうだ。
まあ、監督のキューブリック自身が、意味はこれを観た人が勝手に解釈すればいいといってるから、わたしも(もちろん自分なりの解釈はあるけれど)意味なんぞにはふれない。
わたしがこの映画を好きなのは、映像の美しさ、テンポのゆるやかさ、マンガ少年だったわたしが、子供のころに空想した宇宙旅行が、そっくりそのまま目の前に現れたことによる。
このうちのゆるやかさというのが重要で、だいたいわたしらの世代は、最近のやたらめったら目まぐるしいCG映画にはついていけないのである。

2001b

公開当時さまざまなメディアが、賛否両論のさまざまな意見を述べたことは、その後にジェローム・アジェルっていう人がまとめた「メイキング2001」に詳しく書かれているけど、この映画をまっ先に評価したのは、当時のヒッピー文化を代表する音楽家や画家(たとえばジョン・レノン)などだった。
この手の連中は、こむずかしい理屈よりも、直感的に目や耳からの刺激に反応するようで、逆にいえば「2001」の素晴らしさは、あまり意味や理屈にこだわる人には理解できないものかもしれない。
美しい映像と魅惑的な音楽が、わたしをしばし陶酔の世界にいざなうこの映画は、どこかの誰かさんが言ったように、ドラッグ体験ツアーとして観たって価値があるのに、である。

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